研究課題/領域番号 |
11J07508
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚田 雄一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | シェイクスピア / ジェイムズ一世 / スチュアート朝 / エリザベス一世 / イギリス演劇 |
研究概要 |
本研究は、ジェイムズー世治世下に上演された一連の後期シェイクスピア劇、および同時代の劇作家の作品に登場するジェンダーの表象を当時の政治的・文化的背景に照らし合わせて分析することで、文学テクストとその政治的・文化的背景の間の密接な相互影響関係を考察するものである。 研究一年目にあたる本年は、特にジェイムズ一世治世下に上演されたシェイクスピア、ベン・ジョンソン、ジョン・フレッチャー、トマス・ミドルトンの劇作品を読み解いた。その研究成果として、第一に、『マクベス』のジェンダー表象を当時の政治情勢との関連から読解して英語論文にまとめた("The Caesarean-Born Political Child of King James VI and I:A New Interpretation of Macbeth's Two Prophecies")。この論文は『英文学研究』(日本英文学会、第88巻、2011年12月)に掲載された。第二に、平和外交派と好戦派の政争という当時の政治情勢をふまえて、母と息子のジェンダー表象とそれらが初演時にもっていたと考えられる政治性を考察した『コリオレイナス』論(「堕ちる軍神/凱旋する母--CoriolanusとJames Iの外交政策」)を第83回日本英文学会全国大会(北九州市立大学、2011年5月29日)で発表した。 また、ルネッサンス期におけるジェンダー表象と政治・文化の関係についての理解を深めるため、ジェイムズー世治世期の研究と並行して、エリザベス一世治世期における両者の関係についても考察を進めてきた。その研究成果として、エリザベス女王のジェンダー表象、アイルランド問題、宗教問題をふまえて読解したエドマンド・スペンサーの『妖精女王』論("'[W]omen Wontin Warres to Beare Most Sway':Elizabeth an Foreign Policy and the Representation of Femininity in Edmund Spenser's Book III of The Faerie Queene")をThe 8th Annual Ohsawa Colloquium(東京大学、2011年6月4日)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた査読論文の発表と査読付きの学会発表を二つとも実現することができた。前者は、『マクベス』に関して英語論文であり、日本英文学会の『英文学研究』に掲載された。後者は、日本英文学会の全国大会における『コリオレイナス』に関する口頭発表である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ジャコビアン演劇のテクスト分析だけでなく、それと並行して一次資料を広く収集して綿密に分析する計画である。そのため、できる限り早い時期に英国に渡航して一次資料の収集と調査を行いたいと考えている。
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