研究概要 |
平成25年度は, 前年度構築した correlated topographic analysis (以下, CTA)に関する学術論文が受理され, 出版された. (Machine Learning vol. 92, pp. 285-317) 平成25年度に新たに取り組んだ研究の1つとして, CTAをさらに拡張する手法を構築し, 提案した. 具体的な違いについて述べると, 先に提案したCTAでは, 近傍の特徴間にのみ統計的な依存性が存在することを仮定し, 特徴とその順序関係を推定した, これに対して, 新しく提案した手法では, 特徴間の依存構造を固定するのではなく, 入力データから特徴と特徴間の依存構造を推定する. 得られた研究結果について述べる, 提案手法と過去の手法を比較すると, 提案手法は, 独立成分分析(以下, ICA)とCTAをある特別な場合として含む, より一般化する手法であることが分かった. また, 自然画像を入力として数値実験を行った結果, 拡張CTAによって推定された個々の画像特徴とその空間分布は, 脳の第一視覚野の単純型細胞の受容野と類似した性質を示し, それら画像特徴間の興味深い依存構造も推定された. 具体的には, 類似した性質をもつ特徴は, 依存性が強い傾向にあった. 加えて, その依存構造は無向グラフとして表現することができ, 依存構造を視覚化できる. 他に, 第一次視覚野における複雑型細胞モデルを用いた数値実験も行い, 同様に, 特徴間の依存構造が推定された. この手法に関する研究成果は, 国内外の学会で発表しており, また, 研究成果をまとめた論文を国際会議Artificial Intelligence & Statistics (AISTATS) 2014に投稿し, 受理, 出版されている. 上記した研究以外にも, CTAを用いた画像のノイズ除去やパターン認識のための主成分分析, ICAを用いた階層的特徴抽出手法に関する研究も行った. これらの研究成果については, 学会発表を行っていないが, 階層的特徴抽出については発展の可能性があり, 今後の課題として挙げておきたい.
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