研究課題/領域番号 |
11J07922
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
林 真志 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 不斉合成 / ケチミン / 二重活性化 / 四置換不斉炭素 / γ-ブテノライド / 酸塩基協奏触媒 / α, β-ジアミノ酸 |
研究概要 |
近年の高機能性有機化合物 : ファインケミカル・医農薬品類において、光学活性α-またはβ-アミノ酸およびその類縁体は非常に大きな役割を果たしている。特にこのような分子の中で四置換不斉炭素を有する化合物群はラセミ化の心配が無く、立体配座の安定性も高いために高機能性が期待されているが、天然には存在しない化合物群であるために、効率的な合成手法の開発が必要とされている。そこで私は、高度な不斉反応場設計による求核剤、求電子剤を同時に活性化する二重活性型の触媒を用いることにより、これまで困難であったケチミン類の普遍的な合成手法の確立を目指して研究を行ってきた。 1. シンコナアルカロイド-ルイス酸触媒を用いたケチミン類に対する不斉ビニロガスマンニッヒ反応 シンコナアルカロイド-銅触媒を用いることにより、ケチミン類に対するフラン誘導体による不斉ビニロガスマンニッヒ反応の開発を行い、連続する不斉炭素を有するδ-アミノ-γ-ブテノライド誘導体を、高収率・ジアステレオ選択的・高エナンチオ選択的に得ることに成功した。また、より廃棄物の少ない効率的な合成手法としてシリルエノールエーテルを用いない直載的なビニロガスマンニッヒ反応の開発を行い、ルイス酸に亜鉛を用いることで高収率・高立体選択的に生成物を得ることに成功している。 2. シンコナアルカロイド-銅触媒を用いた不斉イミダゾリン形成反応 また、本触媒系をケチミン類とイソシアノ酢酸エステルを用いるマンニッヒ型反応に展開し、光学活性なイミダゾリン形成反応の開発を行った。その結果、ジアステレオ選択性が中程度なものの高収率・高エナンチオ選択的に光学活性なイミダゾリンを得ることに成功した。これら生成物は、光学純度を低下させることなくα, β-ジアミノ酸へと変換が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度は、前年度までに開発してきたシンコナアルカロイド-ルイス酸触媒をルイス酸・ブレンステッド塩基協奏触媒として用い、ケチミン類と種々の求核剤との不斉反応へと展開を行った。さらに、得られた生成物を医薬品中間体やビルディングブロックとして重要なδ-アミノ-γ-ブテノライドやα, β-ジアミノ酸へと光学純度を低下させることなく変換が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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