研究概要 |
平成23年度の研究計画では,過敏感細胞死誘導能を有するグループVIII ERFに対するクロマチン免疫沈降法(ChIP)を行い,次世代型シークエンサー解析用のライブラリー調製を行うこと,そしてChIP-sequenceのランを実行し,解析を先行させることとしていた.ChIP-sequenceのライブラリー調製を行う前段階として,シロイヌナズナにおいてグループVIII ERF遺伝子の過剰発現系を確立させること,その上で,エピトープタグを用いたChIP法を成功させ,ChIP-DNAを回収することがポイントであった.グループVIII ERF遺伝子の過剰発現系として,アグロバクテリウムを用いた一過的発現系の条件検討を繰り返し,シロイヌナズナにおける一過的過剰発現系を確立することが出来た.また,ChIPに関しては一連の操作の各段階における条件検討を行い,オリジナルのプロトコールを確立することが出来た.さらに回収できた微量のChIP-DNAから確実にライブラリー調製をおこなえるように,ランダムオリゴプライマーを用いたPCRによるDNA増幅の手法を検討し,必要な試薬の用意と反応系の最適化を行った.現在ChIPにより回収したChIP-DNAの量的な確保を進めており,ライブラリー調製がほぼ可能な段階に至っている.また,ライブラリー調製と並行して,後の大規模データの解析に備えた解析環境の整備と手法の習得を進めている. この間にグループVIII ERF遺伝子に関して,個々の遺伝子機能やグループ全体の特徴など新たな知見が得られており,これらの研究成果については別途まとめて,現在学術誌への投稿準備を進めている.グループVIII ERF遺伝子に関する知見は大規模データの解析段階に至った際の研究方針を決めるにあたって必須の情報であり,本研究課題の成果を最終的にまとめる上で重要な基盤となるものである.
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