研究課題/領域番号 |
11J08060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江島 啓介 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 感染症 / 数理モデル |
研究概要 |
(1)chance-adlusted agreement統計量を用いたassortative transmissionの評価 感染伝搬の不均一性を表すためにassortativity coefficientが用いられることが多い。本研究員らはchance-adjusted agreement統計量である、kappaとAC1がそのような不均一性を表すのに適しているかどうかを検証した。 (2)社会伝搬を考慮した肥満拡大モデルの構築と介入評価 肥満人口は年々拡大しており、大きな健康問題の一つになっている。一方肥満が社会伝搬するという可能性が示されている。そこで本研究員らは社会伝搬も考慮した肥満拡大モデルを構築し、各種介入の効果評価を行った。 (3)Incubationperiodを用いた新型コロナウイルスによる呼吸器疾患のcase definitionの可能性の検討 2012年10月に新型コロナウイルスの感染を疑われる症例が見つかった。しかし、その後の検査で新型コロナウイルスには感染していないことが明らかになった。このような新興感染症が入ってきた際に限らられた情報しか得られない。本研究員らはincubation periodのみが分かる場合に、どの感染症に感染したかのcase definitionが可能かをベイズモデルを用いて検討した。 (4)contact tracingとcase isolationは過去のワクチンによって有効性が阻害されるかどうかの検討 ワクチンは感受性を下げる効果がある一方、感染した際の診断の遅れ、感染者の活発な移動を誘発する。本研究員らはそのようなワクチン接種かにおける、感染症拡大の抑止策としてのcontact tracingとcase isolationの有効性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は単にモデルの解析にとどまらず,いくつかの感染症データの解析も行った.成果は国際誌に投稿、受理されている。また,香港大学を訪問し,公衆衛生の基礎を学んだ.
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今後の研究の推進方策 |
感染症に留まらず、他の社会伝搬するような現象への応用も考えている。たとえば,肥満は生活を共にすることなどで伝播すると言われている.肥満の伝播現象をモデル化することで,肥満人口の予測や,年齢ごとの肥満リスクの定量化が可能にあると考えている.
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