研究課題/領域番号 |
11J08191
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西川 邦夫 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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キーワード | 生活水準 / 水田農業 / 集落営農組織 / 産直産地 / 国際比較 |
研究概要 |
平成24年度は以下の4点に焦点を当てて研究を進めた。 第1に昨年度と同じく、我が国の家計構造を歴史的に捉える試みである。受入研究者である東京大学社会科学研究所の加瀬和俊教授の指導の下、我が国における明治時代以降の生活水準の歴史的推移について、先行研究の検討を中心に研究を進めた。 第2に、水田農業における組織経営体の展開の地域性についてである。従来、集落営農組織に代表される組織経営体の展開は、家族経営だけでは地域農業を支え切れなくなった地域で展開してきた。しかし、経営所得安定対策が導入された2007年以降は、その対象要件を満たすために家族経営が残存している地域でも展開が見られた。報告者はそのことから、現在我が国の水田農業で起こっている構造変動は、政策によって強引に引き起こされているものであるという結論に達した。 第3に、山形県庄内地域を対象とした研究の推進である。応募者の研究課題は、茨城県筑西市、山形県鶴岡市、島根県益田市の3地域の農業構造変動を比較するものである。対象地域の1つである山形県鶴岡市において、報告者は産直産地を事例とし、これまでの経営の展開過程を分析し、近年における変化を論文としてまとめて投稿した。 第4に、国際的視点の導入である。報告者は2012年10月から2013年3月までの6カ月間、イギリスのオックスフォード大学ニッサン日本研究所で在外研究を行った。その際に海外の研究者や文献と触れる機会を得たが、日本の農業構造改革を国際比較の中に位置づける必要性を強く感じた。先進国で等しく農業政策改革が進む中、「なぜ日本だけ?」ということが多々あった。例えば、米価下落という現象と対応するものは他の先進国では起こっておらず、また集落という地縁的枠組を利用して構造改革に対応していく国も他には見当たらない。報告者は今後、国際比較も念頭に置きつつ自身の研究課題を遂行していくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析も進展し、学会報告・論文投稿も当初の予定通りに順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、実態調査、学会報告、論文執筆のサイクルを継続していく。最終年度なので、論文執筆のペースを上げる予定である。
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