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2012 年度 実績報告書

電子ドナー・アクセプター連結白金錯体を用いたスピン制御型光電子移動の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J08419
研究機関大阪市立大学

研究代表者

杉村 亮治  大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード白金錯体 / ポルフィリン / 光電子移動
研究概要

申請者はこれまで、光エネルギーの有効利用を目的として、白金錯体を三重項増感剤として用いる新たな可視光駆動型の電荷分離物質を開発している。自金ジアセチリド錯体(Pt)に電子供与体(D)及び電子受容体(A)を連結したD-Pt-A系を合成し、高効率(96%)で約1μsの寿命をもつ電荷分離状態の発生に成功している。更に吸収の長波長化と高強度化を目標として、トリフェニルアミンを電子ドナー、ナフタレンジイミドを電子アクセプターとして白金ポルフィリンに連結した電荷分離システムを構築した。この系ではベンゾニトリル中、光励起により約160μs及び4msと、非常に長寿命の二成分の電荷分離状態が観測された。しかし、電荷分離状態の生成に数マイクロ秒の時間を要したためにその量子収率は低いと考えられた。
そこで今回、アクセプター部に電子求引性基のトリフルオロメチル基を導入したナフタレンジイミドを設計・合成した。これを電子アクセプターとして連結することで電子アクセプター部への電子移動を促進し、電荷分離状態の生成効率を改善することにした。吸収・発光スペクトル、及びCV測定等の各種測定を行い、その基本物性を明らかにすると共に、本系がベンゾニトリル中、光励起により680ps(88%)及び6.4ms(12%)と、非常に長寿命の二成分の電荷分離状態を生成することを明らかとした。さらに、ピコ秒過渡吸収スペクトルの測定により、数ナノ秒で効率的に電荷分離状態を生成することが明らかになった。即ち、今回開発した系は高速(数ナノ秒)で電荷分離状態が生成し、生成した電荷分離状態は極めて長寿命であることを実験的に明らかにした。このような系はこれまでほとんど報告されていない理想的な系であるため、本系は色素増感太陽電池等への応用を考える上で非常に有用である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Photoinduced charge separation of phenothiazine-platinum-naphthalene diimide triads linked by twisted phenylene bridges2013

    • 著者名/発表者名
      R. Sugimura, S. Suzuki, M. Kozaki, K. Keyaki, K. Nozaki, H. Matsushita, N. Ikeda, K. Okada
    • 雑誌名

      Res. Chem. Intermed.

      巻: 39 ページ: 185-204

    • DOI

      10.1007/s11164-012-0642-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photoinduced electron transfer of platinum(II) bipyridine diacetylides linked by triphenylamine-and naphthaleneimide-derivatives and their application to photoelectric conversion systems2013

    • 著者名/発表者名
      S. Suzuki, Y. Matsumoto, M. Tsubamoto. R. Sugimura, M. Kozaki, K. Kimoto, M. Iwamura, K. Nozaki, N. Senju, C. Uragami, H. Hashimoto, Y. Muramatsu, A. Konno, K. Okada
    • 雑誌名

      Phys. Chem. Chem. Phys.

      巻: 15(in press)

    • DOI

      10.1039/c3cp50182e

    • 査読あり
  • [学会発表] 白金ポルフィリン(PtPor)の特性を利用したトリフェニルアミン-PtPor-ナフタレンジイミド連結体の高効率光電荷分離状態の発生2012

    • 著者名/発表者名
      杉村亮治
    • 学会等名
      第2回CSJ化学フェスタ
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2012-10-15
  • [学会発表] 白金ポルフィリンを三重項増感部とするトリフェニルアミン・ナフタレンジイミド連結体の光電子移動2012

    • 著者名/発表者名
      杉村亮治
    • 学会等名
      2012年光化学討論会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2012-09-14

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公開日: 2014-07-16  

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