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2011 年度 実績報告書

発展途上国における健康と教育水準のミクロ計量分析

研究課題

研究課題/領域番号 11J08608
研究機関東京大学

研究代表者

牛島 光一  東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードタイ / 30バーツ医療保障制度 / 人的資本 / 親の教育と子供の健康 / 病気のアセスメント
研究概要

本研究プロジェクトの目的は健康と教育間の因果関係を明らかにすることである。平成23年度は本研究プロジェクトの第一年目であり、教育が健康に与える影響について研究を進めた。この研究では、親の教育水準が高いほど子供の病気を正確にアセスメントできるかという仮説を、タイで導入された30バーツ医療保障制度の特徴を利用することで検証する。教育と健康は内生変数であり、遺伝的要因などの除外変数をコントロールしなければ、教育と健康間の因果関係を明らかにすることはできない。そのため、現在、親の教育水準と子供の健康間の除外変数を考慮した研究は極僅かしかない。本年度の研究では、タイの家計調査データであるHealth and welfare surveyを用いて子供の病気と親の教育水準に関するデータセットを構築した。このデータセットを用いて、医療保障制度導入前後に観察された発病率の差と父母それぞれの教育水準の関係、さらに、その関係の教育水準間の差を推定した。分析結果から、母親の教育水準が小学校卒業かそれ以下のとき子供の病気のアセスメントが正確でないことが分かった(分析サンプルにおける親の平均教育年数は小学校卒業程度)。一方で、父親の教育水準と子供の病気のアセスメントの間には明確な関係はなかった。この研究に対する課題は二つある。第一の課題は、アセスメントの失敗は、観察力不足によるものなのか、それとも病気の過小評価によるものなのかを明らかにすること。この課題については、サンプルを乳幼児と小児に分けて分析することや母親自身の入院率の分析を行うことで考察する。第二の課題は、除外変数の影響を取り除くこと。当初は、30バーツ制度導入に伴う影響は遺伝的要因等の除外変数と関連しないと考えていたが、分析を行う中で除外変数の影響を考慮しきれていないことに気付いた。この問題については、推定方法の改善やサイドエビデンスを用いて解決する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究プロジェクトはタイを主たるフィールドとしている。昨年のタイ国内における大洪水の影響ため渡泰することができず、関連資料・情報の収集を十分にできなかった。しかし、分析に必要なデータは入手済みであり、本年度に計画していた研究については、分析、論文執筆、研究会での報告を行うことができた。従って、計画以上ではないけれども、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

現時点で、研究計画の変更はない。まず、本年度進めてきた教育が健康に与える影響に関する研究は、来年度も幾つかの研究会で報告し、そこでのコメントを元に改訂をする。年度内には、英文校正と国際雑誌への投稿を目指す。健康が教育に与える影響に関する研究では、期待余命の延伸によって教育投資は促されるのかとう仮説を検証する。来年度は、この仮説を検証するためのデータセットをタイ統計局などから収集する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 母親の教育水準と子供の病気のアセスメント2012

    • 著者名/発表者名
      牛島光一
    • 学会等名
      実証応用経済ワークショップ
    • 発表場所
      東北大学(宮城県)
    • 年月日
      2012-03-20

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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