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2013 年度 実績報告書

ホスホリパーゼCδ1の表皮特異的欠損が全身性白血球増加を引き起こす機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J08751
研究機関東京薬科大学

研究代表者

金丸 佳織  東京薬科大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードイノシトールリン脂質 / アトピー性皮膚炎 / バリア
研究概要

1. PLCδ1欠損マウスの表皮バリア異常についての詳細な解析を目的に、バリア脂質の量の測定を行ったところ、PLCδ1遺伝子欠損マウスにおいてはバリア脂質の減少が観察された。Outside-insideバリアの検討のために、皮膚外部からの色素の透過性についても検討を行ったところ、PLCδ1遺伝子欠損マウス表皮では色素の透過性が充進していることも明らかとなった。これらの結果により、表皮のPLCδ1の欠損が、表皮バリアの形成に異常をきたしていることが明らかとなった。
2. ヒトケラチノサイトにおいてもPLCδ1の欠損によって同様の影響が示されるのかどうか検討を行うことにした。ヒト表皮細胞(Normal Human Epidermal Keratinocyte : NHEK)を用いて皮膚の構造を構築させた、"3次元培養皮膚"を作製、このサンプルを用いて色素の透過性などのバリア異常について検討した。その結果、PLCδ1を発現抑制したNHEKによる3次元培養皮膚サンプルでは色素透過性の充進、バリア脂質の減少など、マウスの表皮と類似したバリア異常が見られることが明らかとなった。
3. 表皮のバリアには角質バリア、タイトジャンクションバリアが存在する。色素透過性の増大により、角質バリアに異常があることは確認されたので、タイトジャンクションバリアについてもPLCδ1の欠損が影響を与えているのかどうか、検討を行った。NHEK細胞を培養した際の、タイトジャンクションタンパク質、zo-1の発現について染色レベルでの検討を行ったところ、その異常が観察された。このことから、PLCδ1発現抑制NHEKではタイトジャンクション形成に異常をきたしており、その結果、バリア異常が引き起こされている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全ての実験計画がほぼ予定通り進められた。若干、計画通りに進める事が困難である部分もあったが、代換え手段を用いることにより当初の目的を果たすことができた。以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

PLCδ1が表皮ケラチノサイトで欠損することはケラチノサイトの増殖亢進を促し、分化異常を引き起こすことでタイトジャンクションの形成や角質バリアの形成が不十分になり、バリア異常を引き起こしていることが示唆された。そのため、今後はPLCδ1の欠損がどのようなシグナルを介してタイトジャンクションの形成異常を引き起こしているのか、また、バリア脂質の減少を引き起こしているのかなど、詳細なシグナルについて検証していきたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Simultaneous Loss of Phospholipase Cδ1 and Phospholipase Cδ3 Causes Cardiomyocyte Apoptosis and Cardiomyopathy.2014

    • 著者名/発表者名
      Y Nakamura, K Kanemaru, et al.
    • 雑誌名

      Cell Death & Disease

      巻: 5

    • DOI

      10.1038/cddis.2014.181

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 表皮におけるイノシトールリン脂質代謝の役割2014

    • 著者名/発表者名
      金丸 佳織, 他
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 86 ページ: 255-258

  • [雑誌論文] Physiological functions of phospholipase Cδ1 and phospholipase Cδ3.2013

    • 著者名/発表者名
      Y Nakamura, K Kanemaru, K Fukami.
    • 雑誌名

      Adv Biol Regul.

      巻: 53 ページ: 356-362

    • DOI

      10.1016/j.jbior.2013.07.003.

    • 査読あり
  • [学会発表] Epidermal phospholipase Cδ1 regulates granulocyte counts and systemic interleukin-17 levels in mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Kaori Kanemaru
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2013-09-12
  • [学会発表] ホスホリパーゼCδ1の欠損は炎症生皮膚疾患を誘導する2013

    • 著者名/発表者名
      金丸 佳織
    • 学会等名
      第55回 日本脂質生化学会
    • 発表場所
      松島大観荘
    • 年月日
      2013-06-06
  • [学会発表] Loss of phospholipase Cδ1 impairs epidermal barrier and induces chronic dermatitis2013

    • 著者名/発表者名
      Kaori Kanemaru
    • 学会等名
      Intemational Investigative Dermlatology
    • 発表場所
      Edinburg International Conference Centre
    • 年月日
      2013-05-11

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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