研究課題/領域番号 |
11J08768
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
廣瀬 智士 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 特別研究員(PD)
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キーワード | 機能的磁気共鳴画像測定 / fMRI / 脳情報復号化法 / 機械学習 / Sparse Logistic Regression / 到達運動 / 把握運動 / ヒト脳機能 |
研究概要 |
申請研究(到達運動、把握運動の復号化)を実現するためには、既存の復号化法では精度が低く難しい。従って、本年度はまず、新しいfMRI脳情報復号化(デコーディング)法の研究開発を行った。 新しいデコーディング法として、従来fMRI脳情報復号化において、ある程度の有効性が指示されてきているSparse Logistic Regression法と、近年機械学習分野で大きな注目を集めているアンサンブル学習法を組み合わせた手法を提案した。この提案手法の有効性を評価するため、8名の実験協力者を募り、人差し指運動と中指運動の二種類の運動を行っている最中のfMRI装置で脳活動を計測する実験を行った。この課題は、既に脳内の表象が十分に知られており、デコーディング法の有効性を評価するためには最適な課題である。 上記実験で計測した脳活動から、実験参加者が人差し指運動を行っているのか、中指運動を行っているのかを、提案手法と、従来用いられてきた手法(従来法)で推定し、推定精度を比較した。この結果、提案手法は従来法に比べ、より高い精度での推定を実現できることが分かった。 また、複数のシミュレーションを行うことにより、この手法の優位性の背景には、1)過学習に対する頑健性、2)過剰な疎化の抑制、3)スケーリングに対する不変性、の3つの特徴があることが分かった。 さらに、デコーディング法を基にした脳機能マッピング(weight based mapping : Yamashita et al., 2008)を行い、提案手法が認知機能の脳内表象を調査するためにも有用であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、復号化技術の研究開発を中心に行い、来年度初頭にむけて投稿準備を行っている。また、来年度初頭に本課題研究の中心的な実験である到達運動、把握運動の複合化実験を開始できる準備を整えた。 以上より、研究の進捗はおおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、上記、復号化技術研究の投稿(投稿先 : Human Brain Mappingを予定)をまず優先的に行う。また、同時に年度初頭に、到達運動、把握運動時の脳活動記録を行い、年内にこれらの解析を行い、論文を執筆する。本課題研究最終年度(再来年度)には、オンライン復号化実験を行い、その成果を以って本プロジェクトは完遂する。 予定に大きな変更、問題点は無く、期間中に十分完遂できると考えている。
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