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2011 年度 実績報告書

SOI基板上温度無依存波長多重光回路に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J08863
研究機関東京工業大学

研究代表者

渥美 裕樹  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード温度無依存波長フィルタ / シリコンフォトニクス / スロット導波路
研究概要

本年度は主に本研究テーマの主要技術である波長フィルタの温度無依存化に向けて取り組んだ。LSIのロジック層は局所的に100度を超えるといわれており、LSI上にシリコンプラットフォームの光回路を集積する際に、波長信号の温度依存性が重要な課題となる。従来のSi細線導波路ではSi特有の大きな屈折率温度依存性により、フィルタ部において波長信号が不安定になってしまう。本研究ではこれまで、スロット導波路構造とポリマー材料を組み合わせることでSiプラットフォームでありながら、温度依存性を有さない構造を提案し実現してきた。その技術に関して本年度は、実用化に向けてスロット導波路の構造耐性の改善を行った。
これまでの温度無依存スロット導波路構造は、従来のSi細線導波路の導波路との接続を考慮し、幅500nm、中央の溝が95nmと非常に繊細な構造としていた。これは電子線露光装置やドライエッチング装置を用いてパターンの形成を行うが、パターンが微小であるほど精確性が欠けてしまうという欠点があった。そこでスロット導波路幅を700nmに拡張し、温度無依存となるギャップ幅が235nmまで広げられる構造を再計算し、Si細線導波路との接続構造を設計した。その結果、波長シフト温度依存性としてはリング共振器型波長フィルタでは0.5pm/K、MZI型では-0.9pm/Kまで低減した。この値は100℃の温度変化に対しても0.1nm以下のシフト量に抑えることが可能であることを示し、長距離WDM通信で基準とされている100GHz(約0.8nm),50GHz(約0.4nm)でも十分実用的であると言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度で温度無依存導波路構造を設計し実現した。これはおおむね研究上順調である。
現在は次のステップとしてシステム化に着手している。

今後の研究の推進方策

最終的には化合物半導体を用いた発光素子、光増幅素子との集積によりシステム化を図る。その点に関しては、本研究グループが別に推し進めている表面活性化接合技術を利用することになる。シリコン側としては光に信号を乗せる変調器が必要となり、スロット導波路構造を利用した変調器の設計・作製を行う。これまでのパッシブデバイスとは異なり、イオンインプランテーション技術や配線技術などが必要となるため、一つ一つプロセスを固めて進めていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Athermal wavelength filters toward optical interconnection to LSIs2012

    • 著者名/発表者名
      Y.Atsumi, M.Oda, J.H.Kang, N.Nishiyama, S.Arai
    • 雑誌名

      Photonic Devices using Nanofabrication Technology and Their Applications, IEICE Transactions

      巻: Vol.E95-C ページ: 229-236

    • DOI

      DOI:10.1587/transele.E95.C.229

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Low-loss Amorphous Silicon Multilayer Waveguides Vertically Stacked on Silicon-on-Insulator Substrate2011

    • 著者名/発表者名
      J.H.Kang, Y.Atsumi, M.Oda, T.Amemiya, N.Nishiyama, S.Arai
    • 雑誌名

      Jpn.J.Appl.Phys.

      巻: Vol.50 ページ: 120208-1-120208-3

    • DOI

      DOI:10.1143/JJAP.50.120208

    • 査読あり
  • [学会発表] ブロッホ波干渉型低損失連結クロス導波路の作製評価2012

    • 著者名/発表者名
      渥美裕樹
    • 学会等名
      第59回応用物理学関係連合講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] Athermal Wavelength Filters toward Photonic Integrated Circuits2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Atsumi
    • 学会等名
      The 1st International Symposium on Photonics and Electronics Convergence, ISPEC2011
    • 発表場所
      Tokyo, Japan
    • 年月日
      2011-11-14
  • [学会発表] Wide-Gap Athermal Si-Slot Mach-Zhender Interferometer Embedded with Benzocyclobutene2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Atsumi
    • 学会等名
      The 8th Int.Conf, on Group IV Photonics
    • 発表場所
      London, UK
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] 幅広ギャップ構造を有する温度無依存BCB埋め込みSiスロット型リング共振器2011

    • 著者名/発表者名
      渥美裕樹
    • 学会等名
      第72回秋季応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      山形
    • 年月日
      2011-09-02

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公開日: 2013-06-26  

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