研究課題/領域番号 |
11J08925
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 昌幸 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 特別研究員(DC-1)
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キーワード | 多発生骨髄腫 / small guide RNA / TRUE gene silencing法 / RNA therapy / 核酸医薬 / 血液がん |
研究概要 |
本研究の目的はTRUE gene silencing法を基盤とした多発生骨髄腫治療用small guide RNA(sgRNA)薬を開発することである。そのために私は数多くのsgRNAをデザインし、これらのヒト骨髄腫細胞株に対する増殖抑制効果を調べ、効率よく骨髄腫細胞にアポトーシスを誘導するsgRNAを発見するための実験を行っている。より具体的には、本研究の予定期間3年間に以下のような5種類の実験を計画している。sgRNAは2'-O-methylRNAとして化学合成し、細胞は3種類のヒト骨髄腫細胞株(RPMI-8226,KMM-1,Oda)と、対照細胞としてのヒト白血病細胞株(HL60)および繊維芽細胞株(HEK293)を使用する。デザイン・合成されたsgRNAライブラリーを用いて、(1)MTT試験および(2)qRT-PCR解析を行う。そして、MTT試験によって著しい細胞の増殖抑制効果が確認されたものについては、さらに、(3)フローサイトメトリー解析、(4)DNAマイクロアレイ分析および(5)マウスゼノグラフトモデル実験を行う。平成23年度は、50種類からなるheptamer型sgRNAライブラリーを用いて、交付申請書の通りに、(1)、(2)、(3)、(5)の項日についての実験を行った。その結果、少なくとも1種類の骨髄腫細胞に効率よくアポトーシスを誘導するsgRNAを12種類見出した。このうちの3種類のsgRNAに関しては、ヒト骨髄腫細胞RPMI-8226をヌードマウスに皮下移植したゼノグラフトモデルにおいても腫瘍増殖抑制効果が観察された。また、11種類のsgRNAが標的mRNA量を有意に減少させることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に示した結果は期待以上のものであり、そのうちの一部はデンマークで開催された国際学会において発表し、関連する以前のいくつかの研究成果も論文として公表または投稿中であることから、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、(1)MTT試験及び(2)qRT-PCRの実験を継続し、sgRNAをスクリーニングしていく。また、sgRNAによる骨髄腫細胞の増殖抑制効果がアポトーシスによるものか否かということを解析するために、(3)フローサイトメトリー解析を行い、それらがマウスに移植した骨髄腫細胞の増殖抑制効果を示すか否かということを解析するために、(5)マウスゼノグラフトモデル実験を行う。また、(1)MTT試験によって選抜されたsgRNAについては、(4)DNAマイクロアレイ分析によりsgRNAが遺伝子発現全般にどのような影響を及ぼしたのかを解析し、sgRNAのアポトーシス誘導機構及びオフターゲット効果についての解析をする。
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