研究概要 |
本研究では,車載カメラを用いて道路標識の視認性を定量化する技術の開発を目的としている.そのためには,車載カメラ画像から抽出される画像特徴と視認性との関係を明らかにしなければならない.具体的には,視認性推定に有効な画像特徴の検討,および,それら画像特徴の統合モデルの検討が必要である.そこで,本年度は,対象物体周辺の画像特徴の利用,および,それらの最適な統合モデルについて認知科学的な知見を基に検討した.それらの検討結果を踏まえて,新たな視認性推定の手法を提案し,その有効性を車載カメラ画像を用いた被験者実験を通じて定量的に評価した.また,道路標識の視認性はドライバとの位置関係によって時々刻々と変化するため,時系列情報の利用についても検討し,同様の被験者実験を通じてその有効性を定量評価した.その過程で,ワークショップや研究会に参加し,当該分野における専門家達との議論および情報交換を行った. 以上の研究成果を電子情報通信学会論文誌およびIEEE主催の国際会議(IEEE Intelligent Vehicles Symposium),当該分野における国内最大のシンポジウム(画像の認識・理解シンポジウム(MIRU))等において発表した,また,博士論文(名古屋大学大学院情報科学研究科)において,これまでの研究成果をまとめて発表した.なお,従来研究は対象物体の視認性を単一の画像特徴のみから推定することを考えていたが,本研究は視認性に影響を及ぼす種々の要因を認知科学的な知見に基づいて複合的に考慮しており,認知科学と情報科学の架け橋として重要な意義・重要性をもつものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」として,1)視認性推定に利用する画像特徴およびそれらの統合モデルの検討,2)視認性に基づく最適な情報提示の方法および実環境下でのシステム評価を掲げた.このうち,本年度は1)に関して研究を遂行し,その成果を論文誌,国際会議,国内シンポジウム等で発表できた.これは,交付申請書に記載した「本年度の研究実施計画」通りの成果である.よって,当初の計画通り研究が進展している.
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