研究概要 |
本研究では,車載カメラを用いて道路標識の視認性を定量化する技術の開発を目的としている.そのためには,車載カメラ画像から抽出される画像特徴と視認性との関係を明らかにしなければならない.具体的には, ・視認性推定に有効な画像特徴の検討 ・画像特徴の統合モデルの検討 が必要である.本年度は,前年度に引き続き,画像特徴および統合モデルを検討した.具体的には,視認性推定の対象とする道路標識周辺の画像特徴に加えて,対象標識が存在する交通シーンコンテキストを考慮した大局的特徴を導入し,それらの統合モデルを検討した.そして,その有効性を被験者実験を通じて定量的に評価した.これらにより,これまで考慮されていなかった画像特徴が視認性に及ぼす影響を明らかにでき,今後の研究における一つの知見として意義深いものである.また一方で,研究実施計画に従い,道路標識以外の物体(歩行者,信号機)に対する応用可能性を調査するべく,それぞれの視認性を推定するための手法を検討および開発した.また,悪天候時における対象の視認性およびその推定手法も検討した.さらに,自動車のドライバの個人差を考慮した視認性推定手法についても検討した.これらの調査結果から得られた知見は,実際の応用時に解決しなければならない課題の一部に対して解決方針を示すものであり,今後の研究において有用である. 以上の研究過程で,国外・国内の学会に参加し,関連分野の専門家達と議論および情報交換を行った.また,得られた研究成果をパターン認識に関する国際会議(21st IAPR International Conference on Pattern Recognition)およびITS応用に関する国際会議(2012 International IEEE Conference on Intelligent Transportation Systems),国内学会(画像の認識・理解シンポジウム(MIRU)2012)等で発表した.今後は,これらの研究成果を取りまとめ,学術論文誌に投稿する予定である.
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