現在研究を行っているハーバード大学を拠点として、美術史研究のプロジェクトに参加するなかで風景画についての研究を行ってきた。木大学において受け入れを依頼しているProf. Melissa McCormickとともに積極的に研究交流を行いながら、ボストン美術館を始め、サックラー美術館、シカゴ美術館、ニューヨークのディーラーなどで中世末から近世初期にかけての絵画作品の調査を行った。本年度は、特に『曽我物語』『平家物語』などの軍記物や『源氏物語』など王朝文学を絵画化した作品である物語絵画を中心に、文学作品や芸能作品が屏風絵作品として絵画化されることの意味を探るなかでそうした屏風絵の享受された場について考察を行ってきたが、その成果は2012年度中に発表する予定である。 4月に個人発表を行ったアジア学研究の学会であるAssociation for Asian Studiesにおいては、日本絵画や和歌に頻繁に描写される「洲浜」の風景の機能について考察を行った。この成果についても2012年度中に英文でまとめて出版したい。また本年度は、2012年3月より東京国立博物館で行われる「ボストン美術館日本美術の至宝」展のための作品調査も行い、実際にボストン美術館に通いながら本研究課題である屏風絵を中心に作品の精緻な調査を進めるなかで、その成果を『ボストン美術館日本美術の至宝』展のカタログにおける解説のなかにまとめた。
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