研究課題
衛星による雲観測データを用いて、成層圏突然昇温(SSW)時の雲出現頻度に注目したデータ解析を行った。その結果、SSW時に対流圏上層の雲頻度が減少することを見出した。このような雲頻度の減少は、極域下部成層圏から上部対流圏において残差平均下降流が強化されているときに、顕著であった。このときには、極域上部対流圏において温度及び静的安定度の上昇、対流圏界面の下降が見られた。これらのSSW後の変動は残差平均下降流の強化で説明できる。さらに、近年提案された3次元残差平均流の理論式を用いて、残差平均鉛直流の地域性について調べた。雲頻度の減少が見られた地域で、下降流が卓越することが分かった。この結果は、成層圏の残差平均流の水平分布が雲の水平分布に影響を与える可能性を示している。この研究成果について、Journal of Geophysical ReseIrchに論文を投稿済みである。オーストラリア南極局から提供された、南極Davis基地での観測データを用いた極中間圏雲(PMC)と温度移流の関係についての解析を行った。温度風の関係を用いて、水平風の鉛直プロファイルからの温度移流の推定を試みた。輝度の高いPMCが出現している時、水平温度移流による冷却率が、平年値と比べて、2倍程度大きくなっていることが明らかになった。この研究成果と咋年度までのDavis基地の観測に基づく研究を総合した論文を、現在準備中である。南極昭和基地大型大気レーダー(PANSYレーダー)は、2012年4月末より連続観測が行われている。この初期観測の成果は、Journal of Atmosphere and Solar-Terrestrial Physicsに出版さねている。報告者は初期観測データの解析の一部を担当した。これまでの博士課程で得られた研究成果を総合して、博士論文としてまとめた。
(抄録なし)
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Journal of Atmosphere and Solar-Terrestrial Physics
10.1016/j.jastp.2013.08.022
http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~kohmasa/