研究課題/領域番号 |
11J09410
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
VIRAG Viktor 日本社会事業大学, 大学院・社会福祉学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 多文化ソーシャルワーク / カルチュラル・コンピテンス / 文化的多様性 / 社会福祉教育 / ソーシャルワーク教育 / グローバル基準 / 国際研究者交流 / 米国:カナダ |
研究概要 |
日本社会は文化的にますます多様化しており、文化的に多様な人々の周縁化や社会的排除もみられる。国内でも、文化的多様性に関するソーシャルワーク教育のグローバル基準に対応した社会福祉教育を確立する必要がある。本研究の目的は、日本における文化的に多様な人々に対応できる能力、即ちカルチュラル・コンピテンス(以下「文化的対応能力」)をもつソーシャルワーク人材の効果的な教育プログラムの構築である。ソーシャルワーカーに求められる文化的対応能力は、異文化間場面において効果的に対応できる実践力を意味し、文化的な認識、知識、技術から成り立っている。 それに向けて、平成23年度は、1.先駆的な多文化ソーシャルワーク教育に関する海外調査と、2.日本で求められる文化的対応能力要素に関する国内調査を実施してきた。1.の海外調査では、文化的多様性に関するソーシャルワーク教育のグローバル基準に対応する米国及びカナダの国内基準、またこれらに基づく大学のカリキュラムを調査した。特に、文化的対応能力の基盤であるソーシャルワーカーの文化的認識、とりわけ自己認識(母文化等の自己覚知)と他者認識(文化の異なるクライエントに対する態度等の意識化)を促進する効果的なプログラム例及び具体的な教授法を重点的に収集した。また、2.の国内調査では、日本における文化別の文化的対応能力要素を明らかにするために、中華系、アイヌ系、コリアン系などのバイカルチュラルの対人援助実践経験者の半構造化面接を行った。 今後、上述の調査を基に構築するプログラム案を検証するために、試験的実施と効果測定による介入研究を行う。そのための枠組みとしては、ラムによる文化的対応能力枠組み及び自己アセスメント・テストを用いる。なお、本枠組み及びテストの使用許可依頼及び翻訳は平成23年度に終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度内の研究実施計画は、国内調査の対象者や海外調査の訪問機関における研究者との日程調整によって多少遅れもあったが、研究目的達成に向けて初年度に予定していた調査は年度内に終了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の国内外の調査を基に作成する多文化ソーシャルワーク教育プログラム案を実験デザインに沿って試験的に実施し、文化的対応能力の自己アセスメント・テストを用いた効果測定による介入研究を行う。
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