研究概要 |
平成24年度は,当研究課題1~3に対して以下(1),(2)の成果を得た。 課題1.就学前通園施設と特別支援学校の全国的な運営状況や利用者像・建築形態の整理 課題2.就学前通園施設と特別支援学校における障碍特性にあった空間や活動環境の解明 課題3.就学前通園施設と特別支援学校における空間構成が活動様態に与える影響の解明 (1)特別支援学校小学部への見学・ヒアリング内容も踏まえ,アンケート調査でいただいた建物空間への定型自由記述をもとに教員の環境への評価や空間ニーズを明らかにした[課題2]。この成果は,障碍を持つこどもが支援を受けながら学習や学校生活をおくるうえで基本となる重要な事柄や障碍の特性に応じて優先的に配慮が必要な事柄を抽出できた点で意義がある。 (2)空間構成の異なる3つの特別支援学校小学部において観察調査を行い,建物の空間構成が活動様態にどのような影響を与えるかを明らかにした[課題3]。また,2年前に調査した特別支援学校小学部での児童の活動や空間の変容を捉えるための観察調査を行った。児童の活動の変容に合った空間や設えを考えることは,児童の成長・発達を支えるために重要である。 さらに,平成23年度に観察調査を行い,その後,建て替えによる空間構成の変容があった障碍児の入居型施設おいて,空間構成の変容に伴う児童の生活の変容を明らかにするための観察調査を行った。大規模ユニット型の施設を小規模ユニット型にする際は,集団規模を調整できる段階的な空間とすることや職員の滞在拠点と共用空間との位置関係に配慮することが重要であると考察した。
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