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2013 年度 実績報告書

孤立気相系における核酸塩基-受容体相互作用の分子論的解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J09470
研究機関横浜市立大学

研究代表者

浦島 周平  横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード孤立気系 / 赤外振動分光 / 遷移極子モーメント / 偏光 / 核酸塩基ヌクレオシド / 直線偏光二色性
研究概要

【概要】本研究では、通常の赤外分光法では解析の困難な、振動数の近接したピークを帰属するための新たな赤外分光法の開発と生体分子への応用を目指した。昨年度末の時点では、アニリンを用いてこの新しい分光法の有用性を検討したが、理論計算との定量的な一致は達成されなかった。しかしながら、本年度はじめに実験条件と理論パラメータの最適化を行ったところ、理論計算が実験値を見事に再現した。そこで本年度はさらに、この手法を生体分子の一つであるグアノシン(Gs)へと応用した。
【Gsの構造決定の背景】Gsは核酸塩基グアニンに糖リボースが結合したヌクレオシドである。これまで孤立気相系においてグアニン類の構造を決定する試みは多くなされてきたが、グアニン塩基には多くの互変異性体が存在するため、それらをすべて区別することは困難であった。特に一つのOH基を持つenol体のGsには、そのOH基の配向により区別される2つの異性体が存在するが、このOH基の配向は赤外スペクトルにほとんど影響を与えないため、従来法では原理的に解析が困難である。一方、OH基の配向のみの異なるこれら二つの異性体はその電子励起寿命が10000倍以上も異なることが示唆されていることから、このOH配向の実験的解析は極めて重要である。
【結果】本研究で開発した分光法をGsに適用したところ、多くの振動モードのうち、少なくとも2つの振動モードでは実験値と計算値が精度よく一致することが確認された。この結果はOH基の配向を決定するのに十分であるが、今後その他の振動モードについても本手法を適用し、全ての振動モードにおいて理論値と実験値が一致することを確認する予定である。これにより、本手法の信頼性と有用性を広く世界にアピールできると考える。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ab Initio Studies on the Photophysics of Uric Acid and Its Monohydrates : Role of the Water Molecule2014

    • 著者名/発表者名
      S. Yamazaki, S. Urashima, H. Saigusa, T. Taketsugu
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. A

      巻: 118 ページ: 1132-1141

    • DOI

      10.1021/jp411880z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] IR-UV Double Resonance Spectroscopy as Implemented by Polarized Laser Schemes : Probing Orientations of Vibrational Transition Dipole Moments2013

    • 著者名/発表者名
      S. Urashima, M. Miyazaki, M. Fujii, H. Saigusa
    • 雑誌名

      Chem. Lett.

      巻: 42 ページ: 1070-1072

    • DOI

      10.1246/cl.130425

    • 査読あり
  • [学会発表] 孤立気相系における新しい直線偏光二色性分光法の開発と生体分子への応用2013

    • 著者名/発表者名
      浦島
    • 学会等名
      第9回先端的レーザー分光の若手シンポジウム
    • 発表場所
      理化学研究所
    • 年月日
      2013-12-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 赤外-紫外二重共鳴スペクトルの直線偏光二色性測定 : 遷移双極子モーメントの配向によるグアノシンの局所構造解析2013

    • 著者名/発表者名
      浦島、宮﨑、藤井、三枝
    • 学会等名
      分子科学討論会2013
    • 発表場所
      京都テルサ
    • 年月日
      2013-09-24
  • [学会発表] 尿酸一水和物の光物理過程における水分子の役割2013

    • 著者名/発表者名
      山崎、浦島、三枝、武次
    • 学会等名
      分子科学討論会2013
    • 発表場所
      京都テルサ
    • 年月日
      2013-09-24
  • [備考]

    • URL

      http://laser.sci.yokohama-cu.ac.jp/

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公開日: 2015-07-15  

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