研究概要 |
平成25年度の研究において、酸化される事で蛍光強度が大きく減少する新規蛍光タンパク質の作成に成功した。この蛍光タンパク質はその特性からoxidation balance sensed guenching protein, Oba-Qと名付けられた。今年度の研究では蛍光タンパク質SiriusをベースとしたOba-QsとCFPをベースにしたOba-Qcの2種類を作成した。これら2つの蛍光タンパク質はその蛍光・励起スペクトルの特性の違いから容易に蛍光を分離できる。これによって、生きた細胞内で異なるオルガネラに同時に発現させ酸化還元状態を測徒するといったこれまでにない実験が可能になると期待される。Oba-Qは酸化還元状態の変化に応じて、分子内でジスルフィド結合を形成し、その結果生じる構造変化によって蛍光量子収率・蛍光寿命が大きく変化する。この特性は通常の蛍光強度による測定はもちろん、蛍光寿命イメージング顕微鏡(FLIM)を用いた測定とも相性がよいと考えられる。 細胞内の酸化還元状態の指標の一つとしてグルタチオンの酸化還元状態が挙げられるが、Oba-Qcをヒト由来のグルタレドキシンGrxとリンカーを用いて結合することでより直接的にグルタチオンと反応し、グルタチオンの酸化還元状態をモニタリングすることが可能な新規融合タンパク質の作成にも成功した。これらの結果をまとめ現在論文を執筆し投稿準備を進めている。またOba-Qとその変異体については現在特許出願中である。
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