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2013 年度 実績報告書

ナショナリティを軸とする公正な多文化共生の世界秩序に関する規範理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J09694
研究機関青山学院大学

研究代表者

白川 俊介  青山学院大学, 国際政治経済学部, 特別研究員(PD)

キーワードリベラリズム / ナショナリズム / グローバルな正義 / 世代間正義 / 国民国家 / 気候変動 / 儒教 / 人権
研究概要

本研究の目的は、近年の政治理論において主要な潮流として台頭しつつある、リベラル・ナショナリズム論を批判的に継承し、国民国家体制を軸とする公正な多文化共生世界の構想を規範理論的な視座から提示することにある。
本年度は、まず、昨年から取り組んでいる課題であり、グローバルな正義と気候変動に関する研究として、昨年度の研究報告をもとに、「地球環境問題とグローバルな正義――気候変動の政治哲学序説」、およびそれに新たな論点を加えて加除修正を施した「グローバルな気候変動の政治哲学――負担や責任の公正な配分の原理に関する規範理論的探究」という2つの論文を執筆した。第一次大戦戦後の時期の帝国主義的な時代と新自由主義が席巻する現代をある意味パラレルに捉え、思想史的な観点から、今日における国民国家の意義を擁護した研究として、「ボーダーレス化する世界における「マルチ・ナショナリズム」の規範的擁護――オットー・バウアーの議論の検討を手がかりにして――」という論文を執筆した。これら3つの論稿のいずれも、国民国家体制の規範的な擁護を政治哲学的に試みたものである。
そのほか、今年度は、研究発表として、世代間正義論におけるネイションの重要性を検討したもの、一般的に人権と相容れないとされる儒教の文化的伝統からみた人権論の再定位を試みたもの、ハンナ・アーレントの思想を概観し、彼女の議論を国民国家の擁護論として読みかえようとするもの、グローバルな正義論の文脈でカント的なコスモポリタニズムを批判的に検討したものなど、7件の研究報告を行った。これらは来年度以降に順次活字化していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、5つの原稿を執筆し、研究報告を行うことができたからである。また、昨年度からの研究を2つ、本年度に行ったものを1つ、計3つの論文を雑誌論文に掲載することができたからである。

今後の研究の推進方策

おおむね計画通りに本研究は進められてきた。
本研究期間は3月をもって終了したが、全体を通して、概ね当初描いた研究計画を着実に遂行することができた点で、非常に有意義であった。来年度以降は、この本研究期間に得られた成果をまとめ、書籍化する作業を順次行っていく予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] グローバルな気候変動の政治哲学-負担や責任の公正な配分の原理に関する規節理論的探究-2014

    • 著者名/発表者名
      白川 俊介
    • 雑誌名

      九州龍谷短期大学紀要

      巻: 60号 ページ: 1-31

  • [雑誌論文] ボーダーレス化する世界における「マルチ・ナショナリズム」の規範的擁護-オットー・バウア-の議論の検計を手がかりにして-2014

    • 著者名/発表者名
      白川 俊介
    • 雑誌名

      インターカルチュラル

      巻: 第12号 ページ: 92-107

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地球環境問題とグローバルな正義―気候変動の政治哲学序説―2013

    • 著者名/発表者名
      白川 俊介
    • 雑誌名

      平和文化研究

      巻: 34集 ページ: 150-163

  • [学会発表] ハンナ・アーレントのコスモポリタニズムをどのように解釈するか――人権・国家・人の移動――2014

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      ・『国際若手研究者シンポジウム「グローバル化する世界と移動する人々 : 超域的アプローチによる比較研究」(主催 : 新潟大学研究推進機構超域学術院、共催 : 北海道大学公共政策大学院)』
    • 発表場所
      阪急ターミナルビル
    • 年月日
      2014-01-12
  • [学会発表] カント的コスモポリタニズムの批判的検討――グローバル正義論の文脈で――2013

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      ・『祉会思想史学会』第38回全国大会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2013-10-26
  • [学会発表] リベラリズム・コミュニタリアニズム・世代間正義――将来世代に対する義務の哲学的基盤に関する若干の考察――2013

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      『日本倫理学会』第64回全国大会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2013-10-05
  • [学会発表] リベラリズムと世代間正義――将来世代に対する義務の哲学的基礎づけに関する一考察――2013

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      『地域健康文化学会』第20回研究大会
    • 発表場所
      福岡市男女共同参画推進センターアミカス
    • 年月日
      2013-09-22
  • [学会発表] 儒教の文化的伝統と人権――比較思想的考察――2013

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      『比較思想学会福岡支部』第94回研究大会
    • 発表場所
      福岡市男女共同参画推進センターアミカス
    • 年月日
      2013-07-20
  • [学会発表] オットー・バウアーによる「文化的自治論」の批判的検討――多文化主義の理論的再検討のための思想史的考察――2013

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      『日本国際文化学会』第12回全国大会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2013-07-07
  • [学会発表] 儒教の文化的伝統から見た西洋現代リベラリズムの批判的検討――倫理の「グローバル化」に抗じて――2013

    • 著者名/発表者名
      白川俊介
    • 学会等名
      『日本比較文化学会』第35回全国大会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      2013-06-08

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公開日: 2015-07-15  

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