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2011 年度 実績報告書

外部環境変化によるゲル化と異方性発現のメカニズムについての研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J09767
研究機関群馬大学

研究代表者

富田 奈緒子  群馬大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード異方性 / 複屈折 / 輸送現象 / 架橋構造 / 自己組織化 / 非定常熱力学 / レオロジー / 界面
研究概要

異方性ゲルは濃厚な高分子溶液を架橋剤溶液の中に浸漬し、その界面から透析を起こさせゲル化と配向を起こさせる比較的単純なシステムであるが、界面を通した濃度の勾配という非常に小さなエネルギーで分子が凝集し大きな構造を作るという点に特色がある。本研究は非定常熱力学を用いて行なう基礎的な研究であり、異方性材料の形成過程や物性の理解に役立つと思われる。このような系を用いた研究は申請者らのグループのみで行われてきたが、最近、高強度ゲル生成への応用(Gong et al,Advanced Materials, 2008)、パターン形成研究への応用(Narita et al., Langmuir, 2007)がなされ、広がりを見せている。ゲル構造あるいは異方性についての先行研究は申請者のグループから発表されているが、本研究が目指す蛍光プローブを用いた分子形態変化の研究やシミュレーションに関する先行研究はない。また、幾何学的条件の変化による振動現象など予備的実験から得られたものについても先行研究はない。結晶表面描像を用いた高分子鎖の変形のシミュレーションは異分野の知見を援用するという意味で独創的である。また、高分子溶液中に透析膜を介して架橋剤が進入し配向する行程はゲル中における高分子の蠕動運動についての一般的な知見を与えると考えられる。また、その運動パターンが複屈折で見られる大きなパターンを形成していることから、分子の自己組織化のメカニズムについての記述を可能性にすると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

物質の選択的透過により誘起されるゲル化と異方性のメカニズムの研究に関しては、外部環境を変化させることによってその機構が明らかにされつつある。物質の選択的透過により誘起されるゲル化における幾何学的条件とメソゲンの種類の影響については、一次元のセルを用いた実験や、界面に曲率を与えるなどの条件下での研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

本研究課題は、異方性ゲルを様々な外部環境下に置くことで起こる形成過程への影響を明らかにすることに重点を置いている。研究の方向性に関しては、溶媒と非溶媒との界面での物質輸送現象の理解や透析外液と内液との間の内部高分子の化学ポテンシャル変化によるメソゲンへの影響などが、工業的な応用基盤になることもわかってきており、重要なテーマだと考えている。また、蚕を用いた複雑系への応用も進んでおり、今後の推進方法についてもビジョンがある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Anisotropic Hydrogel Formation : Effect of Boundary Condition2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Tomita
    • 雑誌名

      Materials Science Forum

      巻: 687 ページ: 567-570

    • DOI

      10.4028/www.scientific.net/MSF.687.567

    • 査読あり
  • [学会発表] Anisotropic Gelation Dynamics of Chitosan Solution by Means of Sandwich Method2012

    • 著者名/発表者名
      Naoko Tomita
    • 学会等名
      Healthcare India 2012
    • 発表場所
      インド
    • 年月日
      20120219-20120223
  • [学会発表] A Basic Study of Adsorption Properties of the DNA Hydrogel with Acridine Orange2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Tomita
    • 学会等名
      IUMRS-ICA 2011
    • 発表場所
      台湾
    • 年月日
      20110920-20110922
  • [学会発表] 家蚕絹糸腺内におけるレオロジー挙動と緩和パラメータによる評価2011

    • 著者名/発表者名
      富田奈緒子
    • 学会等名
      レオロジー討論会
    • 発表場所
      日本、群馬
    • 年月日
      20110920-20110922
  • [学会発表] 家蚕(Bombyx Mori)の絹糸腺の粘弾性2011

    • 著者名/発表者名
      富田奈緒子
    • 学会等名
      日本バイオレオロジー学会年会
    • 発表場所
      日本、大阪
    • 年月日
      20110602-20110604

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公開日: 2013-06-26  

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