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2011 年度 実績報告書

2次元配列イオンによる量子シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 11J09795
研究機関大阪大学

研究代表者

野口 篤史  大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード量子エンタングルド状態 / デコヒーレンス / 量子シミュレーション / イオントラップ
研究概要

トラップイオンを用いた量子スピンシミュレーションの実現へは、光を用いたスピンスピン相互作用を利用する必要がある。平成23年度はそのようなスピン間の相互作用をイオン2個に対して実現し、またさらにそのスピン間相互作用をドレスト状態と呼ばれる電磁波とイオンが結合した量子状態と組み合わせることで、環境からの擾乱に強い新しいエンタングルド状態の生成に成功した。またその生成方法の性質を利用し、qutritと呼ばれる3値をとる量子状態間のエンタングルド状態も同時に生成することに成功した。これらの成果はPhysical Review Letter誌において公表された。続いて、その手法を多数個のイオンに対して施すことで、スピンスクイーズド状態と呼ばれる量子揺らぎが圧搾された状態を生成できる事を発見し、その実験提案論文を現在執筆中である。また同時に、イオン4個におけるスピンスクイーズド状態の生成に向けた実験を遂行中である。
イオントラップの量子シミュレーションについては、実現されてきたものはそのほとんどが一次元系についてであり、その次元拡張が強く望まれている。そのためRF Paulトラップで余剰マイクロモーションが低減可能な2次元のイオン結晶を生成する試み・提案が広く為されているが、電極構造のスケール・トラップ電極からの加熱などにより実用的なレベルでの2次元系は実現していない。そこで、本研究でも当初予定していたそのような方針を変更し、従来の1次元イオン鎖を用いた2次元系量子シミュレーションの方法を提案した。その手法では、一列に並んだイオンそれぞれに別の光を照射することで、任意のイオン間での相互作用を作り出す。そのようにして、2次元量子スピン系と形式的にまったく同一の量子系を1次元に並んだイオンを用いてシミュレートすることができる。平成23年度には、その実現に向けた定量的な見積もりや、個別のイオンに光を照射するための準備を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

目的となる二次元系の量子シミュレーションに向けて、当初考えていた方法とは異なるより簡易な手法によるものを考え、そちらの実現に向けて実験が進んだため。

今後の研究の推進方策

引き続き、イオンごとの局所光照射による2次元量子スピンモデルの量子シミュレーションに向け、準備を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Generation of a Decoherence-Free Entangled State Using a Radio-Frequency Dressed State2012

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Noguchi
    • 雑誌名

      Physical Review Letter

      巻: 108 ページ: 060503

    • DOI

      10.1103/PhysRevLett.108.060503

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Observation of phonon hopping in radial vibrational modes of trappedions2012

    • 著者名/発表者名
      Shinsuke Haze
    • 雑誌名

      Physical Review A

      巻: 85 ページ: 031401(R)

    • DOI

      10.1103/PhysRevA.85.031401

    • 査読あり
  • [学会発表] トラップイオンを用いたデコヒーレンスフリースピンスクイーズ状態の生成に向けて2012

    • 著者名/発表者名
      野口篤史、土師慎祐、豊田健二、占部伸二
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] 40Caの誘導ラマン断熱通過法による幾何学的位相ゲートの実現2011

    • 著者名/発表者名
      野口篤史、土師慎祐、豊田健二、占部伸二
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2011-09-23

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公開日: 2013-06-26  

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