本研究では、2つの反応点(アセチレンとアミノ基)を有するデキストランテンプレートを利用した骨イメージング材料の開発とその機能評価を行った。アセチレンを利用して骨と特異的に相互作用するビスボスホン酸部位を、アミノ基には化合物の体内動態を観察するための検出部位(Cy5(蛍光分子)、DOTA、Pheno1)を導入した。DOTAはGd^<3+>をキレートさせることによりMRI用分子プローブとして利用することができる。Pheno1は放射性同位体ヨウ素(I^<125>)ラベル化が可能である。このような複数の検出機能を有するハイブリッド材料は、イメージング機能を調べる上でお互いの長所を生かし短所を補うことで、理想のイメージング材料になりうると期待した。 合成したハイブリッド生体材料のin vitroにおけるハイドロキシアパタイトとの吸着機能評価を検討した。その結果、リン酸基の導入率の増加によりハイドロキシアパタイトとの吸着能力が向上することを明らかにした。また、導入率が一定値を超えると吸着量が限界に達することが明らかになった。続いて、in vivoにおける骨再生モデルのイメージング実験を検討した。右大腿部には骨欠損モデルとしてBMP-2含浸ハイドロゲルを、左にはコントロールとしてハイドロゲルを埋めたモデルマウスを用いた。その際、それぞれのハイドロゲルを左右の大腿部に埋入することにより、周辺組織の影響を受けにくいと考えた。 まず、放射性同位体ヨウ素(I^<125>)ラベル化されたデキストラン誘導体を用いることにより、化合物の各臓器への集積率を算出した。さらに、蛍光及びMRIにより全身・断層画像を取得し、化合物の集積を可視化することに成功した。
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