研究課題/領域番号 |
11J09875
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 咲子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC1)
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キーワード | ロタキサン / 分子スイッチ / デイジーチェーン / ポリロタキサン / クラウンエーテル / ナノチューブ |
研究概要 |
本研究ではロタキサンの大きな運動性を利用した高次集積体を合成し、その構造の制御と機能の発現を目指す。具体的には2つの構造を対象とする。(A)ではロタキサン構造のみで連結したデイジーチェーン型ポリロタキサンを合成し、その輪成分の軸上の位置を酸一塩基応答性ロタキサンスイッチによって制御する。鎖状ポリマーとグラフトポリマーに可逆的に構造が変化し、これはミクロ相分離構造の形成などマクロな構造変換の可逆的な制御につながることが期待される。(B)ではポリマー主鎖上に多数の輪成分を持つ主鎖型ポリロタキサンを鋳型としてクラウンエーテルを連結したクラウンナノチューブを合成し、その包接挙動について検討する。柔軟な構造から優れた溶解性が期待され、また多点的な認識によりクラウンエーテルの包接能やゲスト選択性の増幅が期待される。 今年度、(A)では、構造の可逆的変化の駆動力であるロタキサンスイッチについてその挙動を精査し、適する構造を探索した。また、合成のキー反応となる還元的アルキル化についても、本研究の目的に適する反応条件を探索した。(B)では、前年度に引き続いてモデル分子を合成した。前年度のクラウンエーテルを2つもつモデルに加えクラウンエーテルを4つもつモデル[5]ロタキサンを合成した。続いてナノチューブ合成のキー反応であるクラウンエーテルの連結反応をチオフェンの酸化重合によって試みたが、生成物の構造が複雑になり、適していないことが分かった、そのため、連結反応を変更する。現在、新たな分子設計を考え、それらの妥当性を検討している。 また、「ロタキサンの可逆的な動きを基盤とした高次集積体の合成と機能制御」の一例として修士過程所属時に報告した側鎖型ポリロタキサンの系で、不斉誘起というさらなる機能制御が達成できたため、疎寺についても論文にまとめるため検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度後半から今年度前半(2011.11-2012.5)において、本学の博士一貫コース支援による海外研修を実施した(Virginia Tech., USA)。また、合成に関して、当初予定していた反応が適さないことが分かったため、分子設計を変更し、適する反応条件を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
主にモデル分子によって計画した反応が適切であるかを検討していたが、いくつか適さないことが判明した。新たな分子構造を考案し検討中である。また、本研究の前、高次集積体として報告していた側鎖型ポリロタキサンについてもさらなる発展が見込まれるため、(A)デイジーチェーン、(B)クラウンナノチューブとともに検討していく。
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