研究課題/領域番号 |
11J09900
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小村 優太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD) (20726822)
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キーワード | イスラーム / 哲学 / イブン・シーナー / アリストテレス / 新プラントン主義 / 魂 / 表象 / 知性 |
研究概要 |
本年度、研究代表者は東方キリスト教学会において研究発表「マイモニデス『迷える者たちの導き』預言者論における哲学者批判」を行い、年度末に発行された当学会の学会誌『エイコーン-東方キリスト教研究-』第42号に論文として発表した。一連の研究は中世イスラーム、とくにイブン・シーナーの哲学の影響を色濃く受けたマイモニデスによる哲学者批判を通じて、ギリシアからイスラームにおける預言者論の推移を明らかにしたものである。日本において当該分野の研究は遅れており、また預言者論の通時的概観は研究代表者の中心的題材にも大きく資するものである。 また、11月に岩波書店から発行された『イスラーム哲学とキリスト教中世I 理論哲学』では「イブン・シーナーの認識論」という章を担当し、執筆した。本叢書は日本においてほぼ単行本の研究書が刊行されていないと言っても過言ではないイスラーム哲学という分野を題材にしたものであり、本叢書において広く一般読者にイスラーム哲学の概説をおこなったということの意義は大きいと考えられる。また、イブン・シーナーを中心的な題材としている研究代表者にとっても認識論は重要な分野であり、本論考を執筆することにより、研究代表者自身の研究も大きく前進することになった。 以上に加えて研究代表者はギリシアからイスラームへと移入したアリストテレス的伝統の哲学と、その新プラトン主義的発展についての調査を行い、とくにヘレニズム期から初期イスラームにおけるこれらの伝統の流れについての研究を行った。また研究遂行の助けとするため、年宋にはトルコに一週間ほどの研究調査に赴き、とくにスレイマニエ文書館にて、アラビア語写本の収集、調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度における研究代表者の研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。ギリシアのアリストテレス的伝統における註釈家たちの著作の研究を行い、トルコにて写本の調査を行うなど、研究計画全体の遂行に必要な土台を本年度において築き上げた。また、同時に学会発表や啓蒙書の共著執筆など、研究成果の発表も順調に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果をもとに、研究代表者は次年度以降、主に初期イスラームにおける魂論、とくに内的感覚論の研究を推し進めていこうと考えている。そのためには次年度以降もアラビア語文献を精密に分析していく必要がある。また、本年度において調査しきれなかったギリシアにおける註釈家の作品や思想などは、次年度以降も併せて調査していく必要があるので、これらも同時に推進していく予定である。
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