研究課題/領域番号 |
11J10052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 邦明 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 農地政策 / 農地改革 / 土地改良事業 / 農家経営 / 戦時経済 / 土地投資 / 小作慣行 / 自作農創設維持事業 |
研究概要 |
2011年度は、研究課題のうち、(1)戦時期の自作農創設維持事業、(2)戦後の農地改革といった農地政策に関する研究を中心に進めた。(3)新潟市役所歴史文化課、西蒲原土地改良区、新潟県立文書館、新潟県立図書館所蔵の史料調査を継続すると共に、新潟県庁所蔵の史料調査に着手した。(4)また、研究受入者である加瀬和俊教授の下で行ってきた、戦前の新聞産業に関する共同研究の成果を取りまとめ、公表した。 (1)については、2011年6月に学会報告を行い(日本農業史学会)、その内容を学術論文として公表した(『農業史研究』第46号)。自作農創設維持事業が財政によって制約されていた側面、地主の置かれていた社会状況、農民が自作農創設維持事業を通じて積極的に土地購入に向かう条件(土地価格、土地条件)を実証的に解明した。 (2)については、修士論文の内容をベースに、新潟県立文書館、新潟県立図書館、新潟県庁所蔵の史料調査から得た情報を加えて、2011年10月に学会報告を行った(政治経済学・経済史学会2011年度秋季学術大会)。農民の投下資本を「慣行小作権」として補償し、優良な農家経営に対しては経営規模を維持させる措置をとった事例を紹介し、日本の農地改革:と農家経営の発展との具体的な関係を事例に即して明らかにした。 (3)については、農地政策に関する史料の収集は完了した。また、もう一つの研究課題である土地改良事業に関する史料については、西蒲原土地改良区での史料収集の他に、新潟県庁農地計画課が所蔵・管理する史料の調査を開始した。 (4)については、共同研究者の一人として、1920~30年代の新聞社の経営上、重要な収入源であった新聞広告に関するサーベイ論文を執筆した。新聞広告を商品広告と案内広告とに分類して、新聞広告史研究の到達点と論点を示した。また、新聞広告の担い手として中小商工業者が地域末端の広告代理店機能を担っていた可能性を指摘し、中小商工業史の視点から新聞広告史を研究していく方法を提示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学会報告および公刊による研究成果の公表が順調に進展している。史料調査が当初の予定通りに進展していることに加え、新出史料の発掘・利用が可能になった。自らの専門分野以外の研究成果を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
農地改革に関する研究成果を査読付雑誌に投稿する。土地改良事業に関する史料調査を新潟県庁、新潟市役所、西蒲原土地改良区、個人保有文書に対して実施し、その成果を学会報告および査読付雑誌に投稿することによって公表する。農地改革および土地改良後の農家経済・農村経済の評価に関わる行政史料、個人保有文書の史料収集に取りかかる。
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