研究課題/領域番号 |
11J10145
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
鈴木 太志 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 結晶化ガラス / レーザー照射 / 非線形光学結晶 / ファイバ |
研究概要 |
本研究ではレーザー誘起結晶化法を利用して、結晶化ガラスによる新規光デバイスの開発を目的として研究を行ってきた。これまでレーザー照射によってガラス表面に結晶を析出させることを可能にしてきたが、ガラス内部に結晶を析出させることに成功していなかった。そこで今回、レーザー照射を用いてガラス内部に結晶を析出させることを目的に研究を進めた。析出させる結晶を非線形光学結晶として知られるβ-BaB_2O_4結晶とし、Sm_2O_3-BaO-B_2O_3系ガラスにレーザー照射を行った。波長1080nmのYb:YVO_4ファイバーレーザーをガラス表面に照射し、表面に結晶ドットを作製した後、レーザー照射位置を移動させ結晶ラインを作製しながら、徐々にレーザーの焦点位置をガラス内部に移動させた結果、結晶ラインをガラス内部に作製することに成功した。 さらに、ファイバ形状のガラスを作製し、ガラスファイバ内部への結晶ライン作製も試みた。融液を引き上げて線引きすることでガラスファイバの作製を行い、レーザー照射することで結晶ラインを作製した。ファイバに対しても、レーザー照射位置を徐々に内部へ移動させることでファイバ中心部へ結晶ラインを作製することに成功した。 これらの成果は今後、レーザー照射による三次元の結晶ライン形成や、ファイバ型光デバイスなどの開発への応用に期待が寄せられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究によって、ガラスファイバ中心部にも結晶ラインを析出させることに成功しており、三次元結晶パターニングへと研究を深化させることができ、予想以上の成果を出すことができた。しかしながら、もうひとつの研究目的である周期構造を有する結晶ラインの配向性調査については困難を極めており、未だ配向性を明らかに出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ガラス内部への3次元結晶パターニングに取り組んでおり、最終的には3次元構造を有する機能性光導波路の開発へ繋げていこうと考えている。また、レーザー照射によって形成される結晶ラインの析出機構や構造を明らかにしようと試みており、集束イオンビームを用いて結晶ラインの一部を切り出し、透過型顕微鏡を用いて微細構造を観察していく予定である。また、周期構造を有する結晶ラインの配向性についても透過型顕微鏡を利用して調査していこうと考えている。
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