研究課題/領域番号 |
11J10148
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日下田 岳史 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 看護師養成 / 大学化 / 教育費用 / 進路選択 / 基礎看護技術 |
研究概要 |
看護師養成の量的主体が専門学校から大学に変化すること(看護師養成の大学化)の原因および意図せざる結果について、理論的な考察を行った。医療機関における看護職の賃金体系は硬直的であり、医療機関と一体化した看護師養成を前提とする授業料の天引きと考えうる低賃金が残存してしまっているため、看護師養成にかかる私的な授業料負担が二重化する結果となっていることを指摘した。このような研究の進行状況を踏まえ、当初の研究計画を変更して、以下のような研究を進めた。 1、義務教育段階の学力や行動、意識に関する男女差の分析を行い、女子においては10代前半までに意識に深く刻まれたトラッキング構造が進路選択に影響を及ぼすという可能性を検討した。 2、女子の高卒後の進路選択を所得・職業・家族の視点から解明するための研究を進めた。 3、看護系専門学校および看護系大学における生徒・学生の所得水準や費用負担等の実態を把握するためのデータの取得の準備を進めた。 4、看護師や看護教員に対するインタビュー調査を探索的に実施しながら、学歴別の基礎看護技術等を把握するための、新卒看護師等を対象とする質問紙調査(3回の調査時点からなるパネル調査)の設計を進めた。 5、上記の質問紙調査に先立ち、学生の「多様化」と大学教育との関係について、わが国の四年制大学人文科学系学科を事例に実証研究を、学習院大学の研究グループと共同で実施した。ここから得られたデータを通じて、職能団体の大学像と大学による大学像との相違について検討した。 6、潜在看護職員の実態把握のためのウェブ調査を企画・実行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護師養成の大学化と費用負担の変化について研究を進めた結果、当初の研究計画の変更が必要だと判断した。その上で、個別の知見を得るための準備を着実に進めることができた。以上より、研究はおおむね順調に進展していると自己評価するものである。
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今後の研究の推進方策 |
実証に資するデータの取得および分析を着実に推進する必要がある。具体的には、看護系の生徒・学生の所得水準や費用負担等の実態を把握するためのデータの取得および分析、新卒看護師等を対象とするパネル調査の実施、潜在看護職員の実態をいっそう詳細に把握することが挙げられる。
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