研究概要 |
初年度の第一結果として、個体によってパイエル板M細胞でのビーズの取り込みには最大10倍程度の差があり、また、腸管上部(胃に最も近い)のパイエル板よりも、腸管下部(盲腸に最も近い)のパイエル板の方がビーズをより多く取り込む傾向にあることが明らかになった。また、この結果から、パイエル板のビーズの取り込み能を比較する際、ループアッセイに用いるパイエル板は、上部のものを扱うよりも、下部のものを扱う方が、試験に適切であるという事が明らかになった。 続いて、「IgA結合蛍光ビーズと、異なる蛍光色のビーズにIgGなどのIgAとは異なるタンパク質を結合させた蛍光ビーズを用いて、M細胞上のSIgA取り込み率を検討する。」を行った。この結果は、予想とは異なる結果が得られた。これまでの報告では、IgAのみがM細胞に付着、取り込みが行われ、IgGはその限りではないとされてきていた(Mantis et al.J Immunol.169,1844-1851.2002)。しかしながら、本試験で用いた、IgAまたはIgGを結合させた異なる蛍光を発するビーズを同時に投与した場合、蛍光ビーズとIgの組み合わせを入れ替えた場合も考慮すると、その取り込み比率は同等であった。この結果は、M細胞上にはIgA受容体のみならず、IgG受容体の存在を示唆する結果である。 前年度の結果を受けて、腸管内にIgA,IgGが存在しないマウスAICDAノックアウトマウスを導入し、繁殖させている、予備実験としてAICDAノックアウトマウスを用いて結合試験を行った結果、野生型のマウスを用いるよりも、明確な結果が得られた。
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