研究課題/領域番号 |
11J10274
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
大舘 巧 東北薬科大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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キーワード | グルタチオンペルオキシダーゼ ペルオキシレドキシン / レドックス / Cyc8 |
研究概要 |
出芽酵母グルタチオンペルオキシダーゼ1(以下Gpx1)を介したレドックスリレーを明らかにするために、酵母ツーハイブリッド法によりGpx1とシステイン残基を介して結合している分子の同定を行った。 Gpx1は酸化的ストレスによりperoxidatic Cysが酸化され、スルフェン酸(SOH)となった後にresolving Cysとジスルフィド結合を形成する。本研究においては、システインを介して結合したGpxlと相互作用因子複合体を安定した状態で存在させるためにresolving Cysをセリンに置換した変異体Gpx1を用いて酵母ツーハイブリッド法を行った。取得されたコロニーからプラスミドDNAを回収し解析を行い、Gpx1とシステイン残基を介して相互作用する因子として転写抑制因子Cyc8を同定した。Cyc8はTup1と複合体を形成し、遺伝子の発現を抑制する。このことから、Cyc8の転写抑制能がレドックスにより制御されている可能性が考えられた。 また、DNAマイクロアレイ解析により野生株とgpx1Δ株で発現量が異なる遺伝子の探索を行った。WTあるいはgpx1Δ株を定常期まで培養した後にRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、栄養源飢餓時に発現が上昇するIME1遺伝子の発現の上昇が認められた。IME1遺伝子の発現もCyc8-Tup1複合体により制御されることが知られている。また、脂肪酸のβ-酸化の初発の酵素Pox1、ならびにβ-酸化が行われるペルオキシソームに局在するペルオキシソーム型カタラーゼCta1の発現もgpx1Δ株において上昇していた。Pox1とCta1の発現にCyc8-Tup1複合体が関与しているとの報告はなく、Cyc8-Tup1複合体によるPox1とCta1の転写制御の可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母ツーハイブリッド法を用いた解析により、出芽酵母Gpx1とシステイン残基を介して相互作用する因子として転写抑制に関与するCyc8を同定したから。
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今後の研究の推進方策 |
Gpx1とCyc8のin vivoにおける関係について明らかにする。Cyc8は様々な遺伝子の転写抑制に関与することが知られているため、どのような条件下においてGpx1とCyc8が相互作用するかについて検討する。
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