研究課題/領域番号 |
11J10304
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 匡央 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ASK1 / マクロファージ / 自然免疫 / リソソーム |
研究概要 |
野生型、ASK1欠損型の骨髄由来分化マクロファージを用いて、蛍光マイクロスフィアに対する取り込み能を定量したところ、ASK1欠損型のマクロファージにおいて、貪食能の低下が認められた。次に、細菌を感染させた時におこるマクロファージの細胞死を、野生型、ASK1欠損型の常在性腹腔マクロファージを用いて検討した結果、ASK1欠損型のマクロファージで、細胞死が亢進していることが明らかとなった。細菌感染、つまり、細菌を貪食した時の、マクロファージ内でおこる現象として、貪食された菌がリソソーム膜を破ることで、マクロファージの消化を回避することが知られている。リソソーム膜の不安定化は、リソソーム内容物の細胞質への流入を引き起こし、細胞死の誘導や、炎症の亢進といった、多様なストレス応答の引き金になっていることが知られている。化合物を用いて、リソソーム膜の不安定化を誘導したところ、ASK1の活性化が確認された。細菌感染と、リソソームに起因するストレス応答にASK1が強く関わっていることを示唆していると言える。細菌感染の際に、細菌を細胞内に取り込み、消化することで、感染の拡大を防ぐことは、マクロファージの自然免疫応答における重要な役割の一つである。これらの過程で、詳細は解明出来てはいないものの、ASK1が重要な機能に関与しており、ASK1を欠損することで、マクロファージの機能が低下していることが考えられ、ASK1の機能を制御することが、感染症に対する新たな創薬開発の基盤になりうることを意味している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通りに、自然免疫応答におけるASK1の機能を、マクロファージに着目して、多様な側面から検討することが出来ているから。
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今後の研究の推進方策 |
細菌が感染した際の、ASK1-MAPK経路に着目して、細胞内のシグナル伝達のメカニズムと、その生理的な意義について、より詳細な検討をしていく。
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