研究課題/領域番号 |
11J10372
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅野 正一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 超対称ゲージ理論 / 共形場理論 |
研究概要 |
オメガ背景下のおける4次元N=2超対称ゲージ理論のネクラソフ分配関数と2次元共形場理論の相関関数の間の関係式、AGT関係式は大きな関心を集め、関係式の拡張など現在でも様々な研究が行われている。我々は、ゲージ理論が自己双対なオメガ背景にある場合において、AGT関係式の背後にW(1+oo)代数の構造が存在することを指摘し、W(1+∞)代数の相関関数とネクラソフ分配関数の対応についての研究を行った。まず、ネクラソフ分配関数に対して成立するrecursion formulaを示し、このrecursionがW(1+∞)代数の相関関数をヤング図で指定される基底で展開した時の三点関数に対するWard恒等式として解釈できるということを議論した。特に、W(1+∞)代数に含まれるU(1)×Virasoro代数については、recursion fomulaとWard恒等式が等価であることを示した。Virasoro代数の相関関数の共形ブロックは、代数の構造から相関関数に含まれる演算子の共形次元の関数として形が完全に決まっているため、この結果はSU(2)ゲージ理論に対してはAGT関係式が成立することを任意のインスタントン数について示している。その後は、上記の議論を任意のオメガ背景化に拡張する研究を行った。まず、この場合においてもネクラソフ分配関数に対するrecursion formulaが成り立つことを確認した。 その後、このrecursionがSHc代数と呼ばれるW(1+∞)代数を1パラメータ変形した代数の作用として理解できることを議論した。SHc代数にはU(1)×Virasoro代数が部分群として含まれており、このVirasoro代数の中心電荷はWN×U(1)代数の中心電荷で一致していることを確かめた。またU(1)×Virasoro代数に対する頂点演算子の変換性を議論し、recursion fomulaがWard恒等式として実現できることを明らかにした。この結果は、近日中に論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度では限定的な証拠にとどまっていたネクラソフ分配関数とW(1+∞)代数との関係性をrecursion foumulaという形で任意のインスタントンについて記述することが可能になったのは進展であった。またその時点で問題であった、自己双対なオメガ背景への限定もSHC代数を考えることで解決できることが明らかになりつつ有り、概ね順調な成果と判断できる
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今後の研究の推進方策 |
SH^C代数に基づく解析を完成させることが第一の課題である。その後は、ループ演算子や表面演算子といった非局所演算子がこの枠組において、どのように理解できるか明らかにすることが目標となる。また、当初の目的であった超弦理論との関係性、特にM5ブレーンの物理でこれらの対称性がどのように実現されうるかについて明らかにすることも大きな目標である。
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