研究概要 |
これまでにCE-SELEXによって創製したキメラ型アプタマーは、標的分子であるヒトトロンビンに対して高い親和性と優れた特異性を持っており、ピト血清中での安定性も向上していることがわかった。さらには, プライマー部位に導入した架橋型核酸を天然型に置換することで活性が大きく変化する特性を持っていた。そこで本年度では、得られた高親和性キメラ型アプタマーの予想される2次構造を元に、プライマー部位に導入した各架橋型核酸の結合親和性への寄与を検証した。プライマー部位の架橋型核酸を1残基ずつ天然型に置換した変異体を作製し標的分子に対する結合親和性を評価したところ、ステム構造の両端に位置する架橋型核酸を天然型に置換した場合に結合親和性が著しく低下することがわかった。 また、種々の標的分子に対応できる一般性の高い入工核酸アプタマーのスクリーニング・システムの構築を目指して、既存の一般的手法では創製が困難だった標的分子に対する人工核酸アプタマーの取得を検討した。異なるデザインの人工核酸ライブラリを用いて、7~8ラウンドのセレクションを行うことで活性種の濃縮を行い、標的分子に特異的に結合する配列の選定に成功した。 さらに、低分子に対してもスクリーニング可能にするため、分離条件の最適化を検討した。一般的に、標的分子が低分子の際は、非平衡キャピラリー電気泳動(NECEEM)では泳動度にほとんど変化が現れないため活性種の効率的な取得は困難だった。そこで、当研究室で既に創製された低分子結合性人工核酸アプタマーと標的分子で抗癌剤であるカンプトテシン誘導体を用いて複合体ピークをNECEEMによって分離可能かどうか検討した。その結果、測定条件を最適化することにより複合体ピークを穣認することができた。また、標的分子の濃度に依存して複合体ピークが変化することも確認でき、結合親和性を評価することができた。
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