研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き4月より7月下旬までイタリアのフィレンツェにある欧州大学院大学において在外研究を行った.欧州大学院大学滞在中は日本で収集した資料から,1960-70年代より今日に至るまでの日本の有権者世論調査に関するデータセットを作成し,また計量分析を行うための事前の作業を行った.またこの作業と並行して,日本との比較の観点から他の選挙制度改革を行った国の政治についての調査研究をさらに進めたが,この過程において同大学所属のスタインモ教授から貴重な助言をいただいた. 日本への帰国後は主として選挙制度改革が有権者の投票行動,また政党や内閣支持の決定要因に与えた影響を計測するため,近年の時系列分析の応用についての研究を行った.また本研究課題の一部として,ミシガン大学のマケルウェイン教授と,朝日新聞社が衆議院総選挙前にそれぞれの選挙区において行っている有権者調査の1979年以降のデータを用いた共同研究を行い,選挙制度改革以前と以後での各選挙区の選挙結果に対する全国および選挙区レベルの要因の重みの変化についての研究を行った.この研究の成果の一部を論文にまとめ2012年8-9月に米国のニューオーリンズで行われるはずであった米国政治学会年次大会で報告するために提出した(年次学会はハリケーンのために残念ながらキャンセルされた).さらにこの研究を発展させた成果を2013年5月に京都で行われる日本選挙学会総会・研究会において報告する予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は現在までに行った調査およびデータ分析に基づき論文執筆を進める予定である.特に他の研究との差別化を図るために,全国レベルでの政党支持率や内閣支持率の推移のみならず,朝日新聞社の選挙区レベルの有権者世論調査のデータを利用した分析をさらに進め,また国際比較のために選挙区レベルの選挙結果についてConstituency-Level Elections Archive(http://www.electiondataarchive.org)のデータを使用した研究を行う予定である.
|