研究概要 |
exemplar(手本)を用いた実数値(連続値)環境における政策(policy)獲得に向け,exemplarに基づく学習分類子システム(Exemplar-based learning Classifier System : ECS)を提案し,その有効性についてシミュレーション実験を通した検証に取り組んだ.事前知識として導入された手本データ(exemplar)の集合から有用なexemplarの抽出を可能とするexemplarの一般化について,実世界の問題にも非常に多く存在する問題特性の1つである不均衡データを扱う問題を通して有効性を検証する.さらには,シングルステップ問題からマルチステップ問題へと展開し,従来の学習分類子システムと同様に両問題クラスにおいても十分に有効なシステムの構築とその有効性について検証した.まず,シングルステップ問題の結果からは,ECSは一般化によって見出された少ないexemplar集合でも事前知識と同程度の解性能を示し,さらに従来手法に比べ不均衡なデータ集合に対しても適切な出力を可能とすることを示した.次に,マルチステップ問題の結果からは,事前知識として得られるexemplarのみではカバーが不可能な範囲に対して,直接政策探索法を応用して新たにexemplarを生成することで,より適切にexemplarを一般化(さらに少ないexemplar集合に縮約)し,さらに解性能を向上させることができた.加えて実問題として,時系列データとして得られる人間の心拍と体動データから睡眠段階を推定する問題に適用し,その精度を測定することで有効性を検証したところ,exemplarの活用と進化計算の組み合わせから,より精度の高い推定を導出するルールの抽出に成功した.
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