研究課題
本研究は、考古資料の3次元デジタルドキュメンテーションとこれを活用した景観考古学の刷新を目指す。そのための具体的な方策として、1)考古資料の3次元デジタルドキュメンテーション、2)3次元ドキュメンテーションデータを活用した古景観の考古学的研究、3)デジタルドキュメンテーションデータの公開と活用を遂行している。当初の現地調査の計画は、これまで研究体制を整えてきた久米島グスク遺跡(日本)、ダブシア遺跡(ウズベキスタン共和国)および岩画や石造物とこれに伴う遺構・遺跡(モンゴル国)を中心に研究を行うことであった。しかし研究を進めるうち、奈良県天理市の西山古墳、宮城県松島町の雄島や福井県勝山市の国史跡平泉寺旧境内そして岐阜県下呂市など、国内での調査を充実させる機会を得たので積極的に参画し、資料と実践の蓄積を重ねている。初年度は、当初の年次計画通り、現地調査に注力し資料が蓄積した。したがって2012年度は、2011年度に得た資料をGISデータ化し解析することに注力しつつ、およそ研究計画の通り現地調査を継続した。2012年9月はウズベキスタン共和国に渡航し、シルクロード都市遺跡ダブシア遺跡の発掘調査および出土遺物の3次元レーザー計測を実施した。2013年3月は沖縄県久米島で調査を実施し、古琉球時代に盛行したグスクの景観記録や出土遺物と民俗文化財の3次元レーザー計測をおこなった。グスクの景観記録はGPSと高解像度パノラマ撮影を用いた。現在、この手法で得た資料とGISによる可視領域分析との比較検討を通じた新たな眺望分析手法を検討している。モンゴル国での調査は、現地調査は実施しなかったが2012年までに実施した調査成果をまとめ、複数の学会で発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画した研究は順調に進んでいる。これに加え,勝山市や松島町,下呂市などの文化遺産を対象とした研究が,新たな協力者を得て開始できたことが,当初の計画以上に進展しているとした理由である。またこれにより,最終年度の研究も円滑に進められるような,自己の研究を深化させるとともに,社会貢献につながる成果を自治体とも協力して挙げる土台を構築できた。
最終年度である今年度は、現地調査は当初の計画の地で実施するほか、新たに機会を得た日本各地の文化遺産の調査をおこなう。これと平行して古景観の復元とその歴史的解釈に注力し、成果を学会や論文などで公表する予定である。またWebを有効活用し、協力関係にある博物館や研究機関ならびに自治体と協力して、収集した資料や成果を広く一般にも発信する。考古資料をはじめとする文化遺産のデジタルドキュメンテーションと景観考古学の将来に期するよう、鋭意研究に努めたい。
すべて 2012 その他
すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)
http://researchmap.jp/yamahiro