研究の最終年度たる本年度は、短冊の調査及び懐紙・短冊データベースへの入力を中心に行うとともに、今までの調査結果をまとめるべく、歌会データベース、懐紙・短冊データベースへの項目の見直し、まとめ等を行った。いずれも範囲は中世後期から江戸時代の初期までである。 主な調査対象は以下である。 国立東京博物館特別展図録『詩歌と書』(懐紙二十六点、短冊四点)、MOA美術館『珠玉の書短冊手鑑の世界』(短冊二百二十五点)、『藤井文庫和歌古短冊名品展』(道風記念館、短冊九十八点)、貴重本刊行会編『短冊手鑑』(短冊八百五十一点)、センチュリー文化財団寄託品展覧会『和歌のキャンバス懐紙にしたためられた和歌』(懐紙のみ二十七点)、古筆学研究所編『手鑑萬代帖』(山口市教育委員会、2001.2、懐紙四点)、『集古筆翰』(史料編纂所所蔵の写真帳。懐紙九点)、岸和田市所蔵旧佐々木勇蔵短冊コレクション『短冊手鑑』(所蔵番号130。約三百点のほか、短冊約三百二十点) 以上、本年度は懐紙約五十点、短冊は約二千点の調査及び入力を行った。これらの中には、作成済みの歌会データベースとの照合作業により、詠歌年次を特定し得たものもあり、懐紙短冊データベース、歌会データベースの両データベースの充実がはかられた。また、調査の過程では、短冊の料紙の模様、歌題の筆者などの情報も、短冊や歌会の解明に不可欠であると考えるに至り、以上をデータベースの項目に加えた。昨年度までに調査を終えていた短冊に関してもデータベースの修正を行った。 一方、歌会データベースでは、次の御会集成のデータを加えた。『先代御便覧』、『御会始和歌』、『御会始和歌慶長』、『公宴和歌御会』、『類聚和歌』、『内裏御会和歌』(いずれも国文学研究資料館撮影のマイクロフィルム)のデータを加え、また全体的な見直し作業を行った。
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