研究課題/領域番号 |
11J10683
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
原口 省吾 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(PD) (20592132)
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キーワード | 無脊椎動物 / 脳 / 神経系 / ニューロステロイド / 精巣 / 卵巣 |
研究概要 |
無脊椎動物では生殖腺においてステロイドホルモンが合成されていることは示唆されているが、脳神経系や生殖腺でのステロイドの生合成経路やその生理作用に関する体系だった知見は極めて乏しい。このような背景から本研究課題では無脊椎動物の脳神経系と生殖腺におけるステロイドの生合成経路の解析とその生理作用を明らかにすることを目的とした。本課題実施の2年目である本年度は、無脊椎動物のマダコとイトマキヒトデの脳・神経系と生殖腺におけるステロイド合成経路の大略を明らかにした。その結果、無脊椎動物の脳神経系ではコレステロールをもとに独自に一連のニューロステロイドを合成することがわかった。さらに、無脊椎動物のニューロステロイド合成経路はマダコとイトマキヒトデの脳・神経系では異なり、無脊椎動物のニューロステロイド合成経路は多様性に富んでいることが示唆された。さらに、生殖腺においても一連のステロイドを合成していることを明らかにした。加えて、無脊椎動物の脳・神経系でのみ活発に合成される新規ニューロステロイドが存在することが明らかになった。本年度の研究で得られた知見は無脊椎動物の内分泌学の進展にとって非常に意義深いものである。上記のように本年度の研究は研究目的に沿って研究を実施し、着実に成果を得ている。本年度の研究結果をもとに、最終年度である来年度は、次世代シークエンサーを用いて無脊椎動物のステロイド合成酵素の同定を行う予定である。さらに、無脊椎動物の脳神経系でどのようなステロイドが活発に合成されているのか明らかにし、そのステロイドの生理作用を解析する予定である。今後も本申請課題を継続して実施することで、無脊椎動物の生殖内分泌学に関する重要な知見が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目である本年度は無脊椎動物の脳神経系におけるニューロステロイド合成経路の大略を明らかにし、無脊椎動物のステロイド合成酵素を同定することを目標としていた。現在、次世代シークエンサーを用いた解析により無脊椎動物のステロイド合成酵素同定のための実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサーを用いて「無脊椎動物のステロイド合成酵素の同定」を行うための実験を進めると共に、無脊椎動物で合成される「主要なステロイドの同定」とその「生理作用の解析」を行うための実験系の確立を行っている。最終年度は、本課題の核となるこれらの研究を実施する計画である。
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