研究課題/領域番号 |
11J10759
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
田添 歳樹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・運動機能系障害研究部, 特別研究員(PD)
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キーワード | リハビリテーション / 脳卒中 / 神経可塑性 / 大脳皮質一次運動野 / 運動制御 |
研究概要 |
本研究は、脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションの発展を目指し、片麻痺からの運動機能回復を効率的に促す生理学的機序を明らかにすることを目的として遂行された。 今年度の研究では、左右大脳半球間の神経活動バランスがリハビリテーションの介入によってどのような変化するかを検討するために、神経生理学的実験を行った。また、本年度は基礎的生理学的データを取得するために健常被験者を対象に実験を実施し、手指運動を用いたトレーニングが左右大脳半球間の神経活動バランスに及ぼす影響を検討した。課題となる手指運動には、麻痺側のみ限局されたトレーニングによる強制使用法と麻痺側と健常側の組み合わせる両手訓練法の比較を念頭において、左右それぞれの片手運動課題、左右の協調運動を必要とした両手協調運動課題、左右の手指に独立運動を課す両手独立運動課題を設定した。この実験の結果、片手運動と両手運動の違いによって左右の大脳皮質運動野間に生じる半球間抑制が異なる可塑的変化を起こすことが明らかとなった。片手運動の場合は、運動トレーニングに関与した手指側を支配する側の大脳皮質運動野から対側の運動野に対する半球間抑制が強まる傾向が確認された。これは、これまでに強制使用法を用いて積み重ねられてきたリハビリテーションの理論に即した結果となった。これに対して、両手運動の場合は、大脳皮質運動野の左右の別に関わらず同様の変化を示す結果となった。しかしながら、両手運動を協調的に行うか独立的に行うかによって、神経活動の変化のパターンが異なる可能性も示される結果となった。 これらの成果は、脳卒中片麻痺後に均衡の崩れた左右大脳半球の活動を是正する上で効果的なトレーニングを考案する上で有益な基礎的データになるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、手指運動の遂行によってどのように左右の大脳皮質運動野間の神経活動バランスが変化するか生理学的知見を得ることができた。この結果より、研究目的に則して概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、大脳皮質運動野の神経可塑性に関して、運動トレーニングの効果と平行して大脳刺激法による効果を検討する。これらの実験の一部は既に実施済みであるので、大脳刺激法の効果と運動トレーニングによる効果との関連を検討を考慮して進める。また、本年度、健常成人で得られた知見を脳卒中患者を対象とした実験において検証するため、片麻痺患者においても実践可能な両手運動の形態を検討していく予定である。最後に、これらと平行して、これまで得られた知見を異なる運動条件などでより詳細に検討していく。
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