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2012 年度 実績報告書

飽和炭素-水素結合の多様な高選択的直接官能基化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 11J10811
研究機関東京大学

研究代表者

天岡 佑紀  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードN-オキシルラジカル / ラジカル反応 / 炭素-水素結合活性化 / アミノ化反応 / フッ素化反応
研究概要

新しい分子変換法の開発は、有機化合物の革新的な合成戦略を提供する。その中でも化学的に不活性なC(sp^3)-H結合の変換は、現代有機合成化学においても未だに困難である。有機化合物に普遍的に存在するC(sp3)-H結合を、C(sp^3)-X結合(X=O,N,ハロゲン等)に直接変換できれば、これまで合成困難とされてきた新規化合物の効率的創出が可能となる。
我々はC-H活性化剤として、高い電子求引性をもつ丼オキシルラジカル種に着目した。μオキシルラジカル種により基質の電子豊富なC-H結合を選択的に開裂させ、生じる炭素ラジカル中間体を多様なラジカル受容体により捕捉する計画である。
昨年度は、アゾジカルボン酸ジエチルΦEAD)によるアミノ化反応を報告した。本年度は、DEADに代わりアゾジカルボン酸ビス(2,2,2-トリクロロエチル)を用いることにより、反応の有用性の向上に成功した。すなわち、生成物のヒドラジン誘導体を、亜鉛による還元条件に付すことで、対応する第1級アミンに効率的に変換することが可能となった。
また、ここまでの一連の研究をふまえ、Selectfluorによるフッ素化反応を新たに見出した。本手法は遷移金属を用いず触媒的にC(sp^3)-H結合をフッ素化した、世界で初めての例である。多様な含フッ素化合物をわずか1工程で合成できる本手法は、医薬品候補化合物などの迅速合成への応用が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

昨年度に確立したアミノ化反応の有用性をさらに向上させたのみならず、新たにフッ素反応を見出すことに成功した。これにより、N-オキシルラジカルを利用する反応の高い応用性を証明した。

今後の研究の推進方策

現在は、本反応系を炭素-炭素結合の形成反応へ応用することを計画している。単にラジカル受容体をアクリル酸エステルなどの電子不足オレフィンに代えるだけでは、反応はうまく進行しないことが明らかになっている。この原因として、加熱条件下でN-オキシルラジカルの前駆体であるN-ヒドロキシイミドが求核種として振る舞うことが問題なのではないかと考えている。現在は加熱条件以外の手法を用い、N-オキシルラジカルを反応系中に発生させることを目指し研究をおこなっている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Radical Amination of C(sp^3)-H Bonds Using N-Hydroxyphthalimide and Dialkyl Azodicarboxylate2012

    • 著者名/発表者名
      Amaoka, Y. ; Kamijo, S. ; Hoshikawa, T. ; Inoue, M.
    • 雑誌名

      The Journal of Organic Chemistry

      巻: 77巻 ページ: 9959-9969

    • DOI

      DOI:10.1021/jo301840e

    • 査読あり
  • [学会発表] N-ヒドロキシフタルイミドを利用するsp^3C-H結合の直接窒素官能基化2012

    • 著者名/発表者名
      天岡佑紀、星川 環、上條 真、井上将行
    • 学会等名
      第38回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      タワーホール船堀、東京都
    • 年月日
      2012-11-05

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公開日: 2014-07-16  

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