研究課題
本年度は、食行動変容介入プログラムの構築にむけて、第一に具体的な食事療法の内容を特定するためのシステマティックレビューおよび統合的に解析するメタアナリシスの継続を行った。第二に、前年度のシステマティックレビューの結果から循環器関連疾患への効果が示唆された食事療法であるPlant-based dietの実践方法のノウハウおよび臨床研究の実際を学ぶため、米国研究機関に留学し、知見を得た。第三に、日本人に適した食事内容を開発するため、米国の研究機関のスタッフと協力し、日本語版のメニューの開発およびFactSheetの翻訳を行った。第四に、食行動変容介入プログラムの効果評価を行う際に用いる食事質問票のレビューおよび栄養摂取量の正確な把握を促進する要因の同定を行った。高血圧は米国フラミンガム研究で開発された心疾患発症を予測するフラミンガムリスクスコアにおいて、主要なリスク因子のひとつである。本年度は、PBDの高血圧への影響を検討した観察研究をレビューし、メタアナリシスを行った。メタアナリシスのデータ源は、MEDLINE、 Web of Science、レビュー論文や関連論文の引用文献とした。メタアナリシスの結果、Plant-based dietと低い血圧とが関連していた。本研究の結果は、前年度のRCTの結果と合わせて、論文化し、英文学術雑誌に投稿中である。本研究の意義は、実社会に合致した食事パターンというレベルで研究を行うことで、臨床への応用可能性の高い結果を提示できたこと、公衆衛生学的に重要なフラミンガムリスクスコアの重要なリスク因子である高血圧の予防ツールを提案したこと、エビデンスに基づいた日本人の社会文化に適合した食行動変容プログラムの一部となるサンプルメニューや情報提供ツールの開発を行ったことである。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度は、循環器関連疾患に対する効果的な食事療法の内容を特定するためのメタアナリシスを継続し、英文国際学術雑誌に投稿した。また、臨床での食行動介入を実現するため、臨床家の食事療法に対する認識と診療実践の実際を調査した結果は英文国際学術雑誌に掲載された。さらに、日本文化に対応した食行動介入の実践のため、介入ツールの一部となる資料および日本人向けのメニューの開発を行うことができた。
本研究では、本年度に特定した食事療法に、(1)食事療法の具体的実践方法、(2)食行動変容を促進する行動科学的方法を組み合わせ、最終的な食行動変容介入プログラムを構築し、効果評価研究を実施する。来年度は、本年度の研究結果を受け、Plant-based dietの高血圧以外の主要なフラミンガムリスクスコアの重要なリスク因子との関連の検討、および日本人における効果検証のための臨床研究のプロトコールの作成を進める予定である。
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