研究課題/領域番号 |
11J10930
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 大介 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | パッチクランプ記録 / 海馬 / 報酬 / オペラント学習 |
研究概要 |
私は、当初のテーマであった「自発的可塑性の誘発ルール」が生体動物の神経回路でどのようなタイミングで、およびどのようなメカニズムで生じるかを検証している。昨年度には、マウスが海馬に特有の「リップル波(またはそれに付随した神経活動)の出現」と直後の「報酬」との連合性を、15分以内という短時間で学習できることを見出し、神経メカニズムまで明らかにした。 今年度で私は、以下の6点を明らかにするとともに、これまでのデータの例数を十分に揃え、神経科学の専門雑誌に投稿し、改訂中である。 1)海馬の神経活動(HFB)は上方だけでなく、下方制御もされること 2)海馬以外の脳領域(内側前頭皮質)の神経活動(sEPSCSs_<supra>)では、強化されないこと 3)ウレタン麻酔下マウスでは強化されないこと 4)ドパミンD_1受容体阻害下マウスでは強化されないこと 5)急性ストレス下のマウスでは強化されず、抗うつ薬の投与により回復すること 6)ドパミンD_2受容体の阻害薬により、強化が障碍されること これらの結果より、1)海馬の神経活動は双方向に自己制御可能であること、2)海馬に特異的な神経活動に対して選択的に制御可能であること、3-6)マウスが内的な意図、モチベーションを介して、HFBを強化していることが示唆された。本研究は、従来の可塑性のルールを凌駕した、マウスの海馬神経回路の自発的な可塑的変化を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画達成だけでなく、論文投稿、改訂まで進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究計画にあったミクロなレベル(神経回路)での可塑性だけでなく、それに付随したマクロなレベル(行動)の変化も観察することで、神経回路の変化がどのように行動の変化を及ぼすかを検討する必要がある。
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