研究課題/領域番号 |
11J11033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
児島 博紀 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 分配的正義 / ロールズ / 正義論 / 平等 / 友愛 / 教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、J,ロールズの解釈を通し、分配的正義における「分配の基準」の問題を検討し、その際に教育の果たす役割を検討することにある。 その際、第一に、「功績desert」、「業績merit」といった西洋思想史上の基礎概念の検討をふまえ、分配的正義の基準という観点からロールズ思想を再解釈することを試みた。本年度は口頭での学会発表は行わず、その代わりに論文等の執筆に専念したが、この点に関する特筆すべき研究成果として、論文「ロールズにおける平等と友愛」が挙げられる。本論文においては、基礎概念の検討の視野を「平等」や「友愛」というさらに基礎的なに概念まで広げることによって、これまでの分配的正義の議論を相対化することをめざした。これによって、研究課題である分配的正義の基準の問題に関しても、今後、従来とは違った切り口で論じることが可能になることが期待できる。また、ロールズの著作に関する基礎的な研究として「《研究動向》新訳『正義論』を読む」を執筆し、ロールズ思想の正確な理解と普及に努めた。 また、本研究は第二に、分配的正義における教育の役割を問う観点から、ロールズ理論の実践的意義を引き出すことを目指している。教育の役割に関する本年度の研究成果として、「カリキュラム・イノベーションにおける政治的シティズンシップ教育のための歴史・思想・実践的条件-イギリスにおける経験を参照枠として-」がある。ここでは、シティズンシップ教育の日本における導入可能性を、イギリスの事例を参照しつつ検討した。教育の問題に関しては、次年度により本格的に取り組む予定であるため、そうした今後の研究につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は分配的正義の基礎的概念の検討を行い、その成果を日本倫理学会『倫理学年報』に投稿することを目標とした。実際の成果として、『倫理学年報』へ論文が採用されたため、当初の目標を概ね達成しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、研究目的の第二の点、すなわち教育に関する論点にとりわけ焦点を当てて研究を遂行したいと考えている。これによって、分配的正義論の実践的な含意を明らかにすることを試みたい。
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