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2011 年度 実績報告書

大腸菌の走化性における膜外から膜内へのシグナル伝達機構の構造生物学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J11124
研究機関東京大学

研究代表者

湊 雄一  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード国際研究者交流 / フィンランド共和国 / 構造生物学 / 核磁気共鳴法 / 膜蛋白質 / シグナル伝達
研究概要

本研究では、大腸菌走化性分子複合体MCP-CheA-CheWの結合様式を、各構成蛋白質が正しい全体構造を保持した状態にて、溶液NMR法による構造生物学的解析を行い、膜外から膜内のエフェクター分子にシグナルが伝達される機構を明らかにすることを目的とする。
平成23年度は、まず膜蛋白質MCPの一種であるTarを、脂質二重膜である、reconstituted high-density lipoprotein(rHDL)に再構成する方法を確立した。さらに、rHDLに再構成したTar(Tar-rHDL)が、CheW存在下で、CheAの自己リン酸化を制御する活性を保持していることを確認した。
次に、TarとCheWの相互作用を調べるため、均一[^2H,^<15>N]標識CheWに対し、Tar-rHDLを添加した試料を調製し、蛋白質複合体の相互作用界面を正確に同定できるNMR手法である、transferred cross-saturation実験を行った。その結果、Ile33などを含む連続した界面を、CheW上のTar結合界面として同定した。本結果は、最近報告された、好熱菌のMCPアナログ細胞内領域と、CheW,CheAの一部ドメインの複合体結晶構造とも整合する結果であり、大腸菌MCPの全長を用いた複合体でも同様の複合体結合様式を有していることが示唆された。今後、リガンド存在下でも複合体の結合様式を調べることが可能であると期待される。さらに、本年度ヘルシンキ大学に滞在し、区分標識法により、CheAのドメイン選択的に安定同位体標識を施す方法を確立した。本成果は現在国際誌に投稿中である。また、P3-P5ドメイン選択的側鎖メチル基^<13>C標識法を確立した上で、^1H-^<13>C HMQC測定を行い、高感度でシグナルを検出することに成功した。今後、ATP結合部位周辺の構造変化を高感度で検出できると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膜蛋白質であるMCPを含む複合体での解析を行うにあたり、MCPを脂質二重膜中に再構成し、活性を保持した上で、溶液NMR解析を行うことに成功した。さらに、区分標識法によるCheAのドメイン選択的標識法も確立し、今後膜蛋白質複合体のNMR解析を行う基盤を整備することができた。これらの達成度から、平成23年度の研究計画と照らし、順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

区分標識法の適用により、CheAのP3-P5ドメインの側鎖メチル基のシグナルを選択的に、高感度で観測できることに成功した。今後は、各シグナルの帰属を行った上で、特にATP結合部位周辺や、MCPやCheWとの結合に重要な残基に着目し、複合体形成時、およびMCPのリガンド存在下で、複合体内の相互作用や、自己リン酸化に関与しているCheAドメイン間の相互作用がどのように変化するかを、NMR法を用いて詳細に調べる。

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公開日: 2013-06-26  

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