研究課題/領域番号 |
11J11149
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
今給黎 佳菜 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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キーワード | 日本近代史 / 陶磁器輸出 / 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
本研究の目的は、近代日本における陶磁器輸出について、輸出先である欧米市場の動向と国内陶磁器業発展の相互関係性について、日本側・欧米側双方の視点に立って明らかにすることである。 本年度は、近代アメリカ陶磁器市場の分析に必要な史料を収集するため、2011年5月27日から8月8日にかけてアメリカ東海岸を中心に調査を実施した。主な調査場所は、ニューヨーク市立図書館、メトロポリタン美術館、ハグレー図書館、ウィンタートゥアー図書館、米国議会図書館、米国国立公文書館、フリーア美術館であった。主な収集史料は、米国政府発行の陶磁器業関係報告書および統計、新聞・雑誌記事、万国博覧会関係史料、陶磁器販売店関係史料であった。また、メトロポリタン美術館およびフリーア美術館では、日本陶磁器コレクションの調査も行った。 本調査により、統計資料をもとに近代アメリカの輸入陶磁器市場における日本の地位および競争国との関係を明らかにすることができた。また、公文書および雑誌記事から日本陶磁器への注目度の高さを表す史料を発見することができた。その他、販売店関係史料として、近代ニューヨークのディレクトリー、アメリカ通信販売会社カタログ、日本陶磁器の見本帖、山中商会関係史料などを収集し、日本輸出陶磁器の流通の実態および市場価値を検討する際の材料を得た。今後はこれらの史料分析を深め、国内史料との照合やヨーロッパ市場との比較分析を行う。また、美術史・経済史分野の先行研究を結び付ける学際的研究への発展が期待できると考え、美術陶磁器・日用陶磁器の両方を研究対象としていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたアメリカ調査を無事遂行でき、期待以上の史料収集に成功したため。また、その分析によって日本陶磁器業の発展と近代アメリカ市場との関係性について次年度の研究につながる仮説を立てることができたため。ただし、成果発表の多くは次年度以降に譲ることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
申請時には1870年代から1910年代までを研究対象時期としていたが、アメリカ市場の分析を進めていくにつれ、1910年代~1920年代の歴史的重要性が明らかになったため、今後は時期の範囲を広げて分析をおこなっていく。また、方法論としてこれまで経済史と美術史の両方を取り入れることを目標に研究を進めてきたが、その両者の間で抜け落ちてきた「デザイン面」の社会経済史的分析を柱として今後の研究は進めていく。
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