研究概要 |
本年度の研究成果として、実際にMANETに関する実験環境を構築し、多種のプロトコル、伝搬モデルを評価するとともに新たなプロトコルとの比較・解析を行った。また、ネットワーク・シミュレーション・システムに多種のトポロジモデルと移動モデルを実装し,屋内・屋外を想定した特性解析を行った。当該年度に実施した主な3つの研究を述べる。第1に、「ノード離脱・参加および送信ノード、宛先ノード、中継ノードの移動による影響とその調査」として、従来研究で経路選択に関する実験的検証を行い,中継端末の移動による影響をリンクメトリックのETXに着目して評価を行っていた。そこで、屋内・屋外環境におけるネットワークからのノード離脱・参加による影響を他のプロトコルで、調査した。通信実験では,主に階段環境における移動ノードと経路表の更新プロセスにおける各経路制御プロトコルの性能を分析した。また、その特性評価を送信ノード、宛先ノード、中継ノードの三つに焦点を当てている。第2に、「シミュレーション(ns-2、ns-3)による比較・検討」として、ネットワークシミュレータのns-2とns-3を用いて様々な実験モデルを用いてネットワーク特性を評価した。また、シミュレーション結果と実験結果を比較することで、近年開発されたns-3シミュレータのシミュレート精度が従来のns-2と比較し改善していることを明らかにした。また、従来のns-2で問題であったノード数が増えると指数関数的に計算時間が増える問題が解決しているのを、MANETのシミュレーションを用いて確認した。第3に、「階段および屋内・屋外における通信特性と解析」では,ノードのネットワークへの離脱・参加による影響及び,移動ノードによるスループット特性を評価基準にした場合、BATMANプロトコルが他のプロトコルと比較し迅速な経路切り替えが行えたため接続性と安定性が高いことを明らかにした。
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