研究概要 |
本年度(2年目)は、前年度に作出した4種のミオシン重鎖(MyHC)アイソフォーム特異的な抗体に酵素標識(あるいは蛍光標識)を施し、それぞれの抗体を視覚的に識別する分類手法を確立した。 酵素抗体染色については、1次抗体に酵素を標識し基質と反応させ、4種の筋線維タイプを個別に発色させることに成功した。蛍光抗体染色については、1次抗体に蛍光物質(647,594,500,405nm)をそれぞれ標識し(α-MyHC1-647nm,α-MyHC2A-594nm,α-MyHC2X-500nm,α-MyHC2B-405nm)、これらを個別に用いて蛍光抗体染色が可能であることを確認した。さらに、4種の蛍光標識1次抗体を混合して免疫染色を行うことにより、1枚の切片上で4種それぞれのアイソフォームを視覚的に識別することを可能にした。現在、この分類手法を利用して単離直後の筋線維(生細胞)をタイプごとに分取することを試みている。分取された筋線維から得られたRNAをRNA-Seqに供し、筋内脂肪蓄積および合成に関わる因子を探索する予定である。RNA-Seqにより得られた膨大なデータセットの解析手法を習得するため、7月から9月まで2ヶ月間、イギリスの欧州分子生物学研究所-欧州バイオインフォマティクス研究所(EMBL-EBI)に留学し研修を行った。 また、筋内脂肪量の差異を評価するため、単離直後の筋線維をBODIPY493/503にて染色し、脂肪滴の存在を確認した。筋線維によっては脂肪滴をほとんど有していないものも存在しており、系をさらに最適化し定量評価を実施することにより、筋線維タイプと筋内脂肪の蓄積状態において相関の有無が明らかになると期待される。
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