研究課題/領域番号 |
11J40125
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
薦田 優香 (萩原 優香) 北海道大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(RPD) (90716482)
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キーワード | CGS / 葉緑体局在 / mRNA可視化 |
研究概要 |
【mRNA切断後に翻訳されるCGSタンパク質の動態】 CGS1第1エキソン配列の下流にGFP遺伝子配列を挿入したコンストラクト(CGSexon1-GFP)を、パーティクルボンバードメント法により、一過的に植物細胞内で発現させる実験系を確立した。そこで、共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて、シロイヌナズナ、およびタバコBY-2培養細胞内におけるCGSexon1-GFPの局在解析を行った。現在までに、メチオニン処理下でのCGSexon1-GFPの局在は、メチオニン未処理の場合と大きな違いがなく、どちらも主に葉緑体に局在するという結果が得られている。 メチオニン処理によりCGS1 mRNAの切断が起こった際、新生ペプチドの切断も起こると考えた場合、翻訳再開後に合成されるCGSタンパク質は、N末端が欠損していると考えられる。そのN末欠損CGSが、葉緑体への移行能をもっているかどうかを早急に調べることが必要である。そこで、当初の計画では2年目に行う予定であった、CGSexon1-GFP発現細胞を用いた細胞分画・Western解析の実験系を確立した。実際、精製した葉緑体画分中にCGSexon1-GFPが検出されることを確かめた。この手法を用いて、現在、CGS第1エキソンに存在すると思われる葉緑体移行シグナル領域の決定を行っており、これらの結果を論文としてまとめ、投稿する予定である。 【CGS1 mRNA切断後のmRNAの細胞内局在】 CGS1 Exon1 mRNAの可視化を実現させるため、CGS1 Exon1配列の下流にλファージのNペプチド認識配列(boxB)を挿入したコンストラクト(CGSexon1-boxB)を構築した。また、λNペプチドにGFPを融合したコンストラクト(λN-GFP)を作製した。これらのコンストラクトを同一細胞に導入し、CGSexon1-boxB RNAの細胞内局在の可視化を試みたところ、顆粒状の構造体が観察できたことから、CGS1 Exon1 mRNAが、顆粒の状態で細胞質に蓄積している可能性が考えられた。今後、この顆粒状の構造体とP-bodyとの関連性を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初初年度に計画していた形質転換植物体などの作出についてはまだ完成していないものの、一過的発現系での解析が順調に進み、2年目に計画していた解析もすでに行っている。また、論文として発表可能なデータがそろいつつあることから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
mRNA切断後に翻訳されるCGSタンパク質の動態については、CGS1 mRNA切断時に新生ペプチドの切断も起こるという仮説において、翻訳が再開した場合に合成されるN末端の欠けたタンパク質に、葉緑体移行能が残っているかどうかを確認することが非常に重要であると考え、現在、deletion mutantsなどを作製し、葉緑体移行シグナルの決定を行っている。この結果を成果としてまとめ、発表する予定である。CGS1 mRNA切断後のmRNAの細胞内局在については、今後、P-bodyマーカーとの共局在解析を行う予定である。
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