研究概要 |
本研究は, 「脂質酸化能の低下が肥満につながる」という仮説を解明するため, 脂質酸化能に対する食事と運動の相互作用について, 食事摂取状況を統制した条件下でヒューマンカロリメーターを用い, 24時間のエネルギー代謝量や脂質酸化量をモニタリングして, 安静時や運動後にエネルギー基質がどのように選択されるかを検証することを目的としている. 本年度は, 本試験を実施した. ヒューマンカロリメーター入室前に, 問診・診察及び身体組成測定, 基礎代謝量, 採血, OGTT(糖負荷試験), 筋力測定, 最大下運動負荷試験, アンケート調査を行う事前測定を行った. 事前測定を行ったあと, 対象者は, ヒューマンカロリメーター入室2日前から高糖質食を摂取し, 3日目の夕方にヒューマンカロリメーターに入室し, 24時間の測定を行った. 4日目はヒューマンカロリメーター内で高脂肪食を摂取し, 決められた時間に自転車運動を行った. ヒューマンカロリメーター内では, 座位安静及び食事, 採尿, 自転車運動, 就寝といった決められた行動以外は, 自由行動とした. 10名の被験者をリクルートし, 本測定を行った. 測定を実施していく中で, ヒューマンカロリメーターで使用している質量分析器に不備が生じ, 1名のデータが不採用となった. また, 3名の被験者が体調不良及び怪我によりドロップアウトしたため, 実際には6名のデータを得た. したがって, 当初の目標測定数10名に及ばなかった. 測定を完了した6名は, 3名が習慣的に運動を行っている閉経後中高年女性, 3名が習慣的な運動を行っていない閉経後中高年女性であった. 測定完了者が少ないため, 統計的な分析は来年度追加試験を行い, 測定数を増やしてからの予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒューマンカロリメーターを用いた本測定を実施する為の予備的な検討を行うとともに, 研究中断前に作成した本測定の詳細なプロトコルを確認し再検討した. その後, 当研究所の研究倫理審査委員会の再審査を経て承認され, 被験者のリクルートを行い, 測定実施目標対象者数の半数を実施する予定で測定を進めた. 測定を行うに当たり, 被験者の確保は可能であったが, ヒューマンカロリメーターの質量分析計が故障したことでスケジュールの急な変更が多数あったこと, また, 被験者さんの体調不良や怪我等により, 数名のドロップアウトがあったことなどから, 予定していた測定数には及ばなかった.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに引き続き, 閉経後中高年女性を対象として脂質酸化能に対する食事と運動の相互作用について, 食事摂取状況を統制した条件下で安静時や運動後にエネルギー基質がどのように選択されるかについて検証する, 習慣的な運動を行っている閉経後中高年女性及びサルコペニアと評価される閉経後中高年女性をリクルートし, 測定実施者数を増やして, 高糖質食から高脂質食に変えた時の呼吸商(RQ)と基質酸化量の経時的変化について, 比較検討する.
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